地球温暖化対策について、若者の動きが活発化しているという。お天気キャスターとして活躍する気象予報士・防災士の正木明さんは、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、その様子を紹介した。
昨年10月26日に、菅義偉首相は新内閣発足後初の所信表明演説の中で、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すと表明。そして、今年4月8日、政府は2013年度比で45パーセント削減を軸に月内に新たな目標を示す方針を固めると、22日には総理大臣官邸で開催された地球温暖化対策推進本部の中で、菅首相は、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46パーセント削減することを目指すと発言した。
ただし、国際的な研究機関「クライメート・アクション・トラッカー」によると、日本に求められている削減幅として、2013年度の温室効果ガス排出量から62パーセント削減することが必要だと結論付けられている。
この62パーセントという数字に敏感に反応したのが、日本の若者たち。4月9日、地球温暖化対策の強化を求める高校生や大学生らが、学校を休んで政府に求める「学校ストライキ」が東京や仙台などで行われた。また、4月22日の政府の表明後には、Fridays For Future Japanが、「2030年温室効果ガス削減目標『2013年比46パーセント』(改定前26パーセント)は気候変動を解決する政府の責務として不十分な値だ」として、声明を発表している。
ちなみに、学校を休んで温暖化対策を訴える「学校ストライキ」=「Fridays For Future(未来のための金曜日)」というのは、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンべリさんが最初に始め、その後、全世界に広まった運動だ。
「今の時期、新学期に始まった学校を休んで、ストライキに参加する。これは親御さんとしては賛否両論出てくるものだろう」と、正木さん。「今回参加した学生たちも、勉強や部活、青春をしたいという気持ちはある。また、一人の高校生として学校を休むという選択が100パーセントいいとは言えないという思いもある。学校を休むことには賛否があると思う」と、若者の複雑な胸中もおもんばかった。
学生の立場としても、「学校を休んでこういう活動をすることがいいかどうか」「削減目標といっしょに議論したい」「学校を休むことに抵抗があったが誰かが動かなきゃと思った」「なんであのとき声を上げなかったかと後悔したくない。僕らの覚悟を知ってほしい」など、様々な声があることも、番組のなかで正木さんを通じて述べられた。
一方で、アメリカのシンガーソングライターで女優のマイリー・サイラスをはじめ、セレブリティたちがメディアのインタビューなどで、「温暖化対策が進まない限り、子どもを作らない」という趣旨の発言をしていることも取り上げられた。
サイエンス・メディア・センターが発行する「サイエンス・アラート」では、温暖化対策の最高の手段のひとつとして、子どもを1人減らす、もしくはまったく産まないことがあげられている。