環境対策として今、注目されている、電気自動車。実はその歴史は古いという。気象予報士で防災士でもある正木明さんが、自身のラジオ番組内で、そのルーツを紐解いた。
エンジンで走る自動車が発明されたのは1885年といわれているが、それよりも前の1839年に電気自動車が世の中に登場。しかし普及するまでには技術の進歩が至らず。1873年、世界で初めてイギリス人のロバート・ダビットソンが実用的な電気自動車を製造。さらにフランスで1899年に電気自動車が作られて、この車が時速100キロを超える記録をガソリン車よりも先に出したという記録が残っている。日本では在日アメリカ人が1899年、個人的に三輪タイプの電気自動車を輸入したのが始まりとされる。
時代が進み1900年頃には蒸気機関で走る車、ガソリン車、電気自動車、この3つの動力源の車が普及。当時、全世界の自動車の40パーセントを電気自動車が占め、ニューヨークのタクシーはすべて電気自動車といわれる時代があったという話しも番組内では紹介。
しかし、1908年、アメリカのフォード社が「フォード・モデルT 」、通称T型フォードを発売。このあたりからエンジンの技術がどんどん進歩したのに加え、ガソリン車を政府がどんどん支援したこともあって、ガソリン車が爆発的に人々に支持されるようになったという。
1990年代から環境問題が深刻化。大気汚染、地球温暖化、化石燃料の枯渇という3つの課題解決の糸口として、電気自動車が再び注目を集め始める。日本では1997年に世界初の量産型ハイブリッド車、トヨタの「プリウス」が発表された。それから約20年以上経ち、ようやく時代が「次は電気自動車だ」として、開発が今、進められているとともに、街なかでも次第に見かけるようになっている。
「日本はガソリンの元の原油を輸入に頼る国。過去に細々と電気自動車を作っていたといわれるので、もし地球環境に化石燃料を使ったら良くないという発想を(当時の)国のトップがして、そこから電気自動車の技術開発をどんどん進めていれば、今ごろ、とんでもない世界になっていたんだろうなと思う」(正木さん)
ちなみに、番組では触れなかったが、コロナ禍の2020年間(1月~12月)、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド(PHV/PHEV)は世界全体で312万4793台販売され、前年比は約41パーセント増だったという報告もある(参照;「EV SALES」より)。
番組内ではそのほかにも、ガソリンスタンドと充電器の数、および、ガソリンと電気のコストの比較なども展開。「(いま)環境に優しい移動手段(のコスト)が少し安くなっているという数字も出ているよう。いずれにしても買い替えのタイミングをはじめ、先行投資を考えるのは今の時代、不可欠なのかと思う」と、正木さんもエコカーの未来に目を向けていた。