和歌山県の特産品、梅のトップブランド「南高梅」は、初夏の日射しを感じる今、黄色と紅色に色づき始め、これから収穫のピークを迎える。
フルーティーで香りが高く、柔らかい果肉が特徴的な「南高梅」。「体に入れるものだからこそ、安心・安全でなければならない」という思いから、農薬や化学肥料を使わず有機(オーガニック)栽培に取り組むのが、和歌山県の北東部、かつらぎ町にある「かつらぎ町有機実践グループ」だ。
同グループでは、梅の木を健康に育てるために、雑草の力を借りて良い土壌に育てる「草生栽培」や、害虫対策として害虫を食べる益虫を使った「天敵農法」を取り入れている。
梅は熟すと「緑→黄緑→黄」と徐々に色を変える。青梅が完熟したものを「完熟梅」と呼び、少し黄色がかってきた梅には、豊かな香りが加わる。
「適熟の梅を梅シロップや梅酒にすると、青梅よりも芳醇で、しわが少なく仕上がります。また、完熟の梅は、少し離れた所からも甘い香りを漂わせますよ」というのは、「かつらぎ町有機実践グループ」の木村義孝さん。おすすめの食べ方は、完熟梅で作る梅ジャムとのこと。
1年のうちで、今の季節しか手に入らない生の梅。“おうち時間”が増える昨今、梅干しや梅酒、梅シロップなどを作る、いわゆる「梅仕事」は、「家にいながら、目や香りで季節を楽しめる!」と人気が広がっている。
そんな「梅仕事」を良い状態で楽しんでもらえるように、出荷時期や方法にもこだわる同グループ。6月中旬からは「適熟」でほんのり色づいたものを、6月後半からは「完熟」の梅を、それぞれ出荷している。市場を通さず、生協の宅配「コープ自然派」などを通じて消費者へ最短ルートで届けることにより、熟度の高い梅の提供を実現している。