■「正直者が馬鹿を見てはならない」「もらいすぎていることはない」
2人が店を構える兵庫県では、1995年に阪神・淡路大震災が発生し、多大な影響を受けた。ただし、小河さんは「震災より今の方が厳しい」と断言する。「震災当時は明るい未来に向けて、『夢を持ちながら頑張ろう』という雰囲気があったが、今はあまりにも格差がありすぎる。正直者が馬鹿を見ることがあってはならない」と強く訴える。政府や兵庫県などは、3度目の緊急事態宣言下において、酒類提供禁止に応じた飲食店には規模に応じて4~20万円の協力金、飲食店の休業により経営環境が厳しい酒類販売業者には一時支援金のほか、月額最大20万円(兵庫県では要件を緩和)の月次支援金の支給を決めるなどしているが、2人は「当然のことながら、もらった分は税金を払わなければならないし、なによりも今後の見通しは極めて厳しい。すぐにはお客さんが戻ってこない。いろいろな意見がありますが、決してもらいすぎていることはありません」と苦しい胸の内を吐露する。
■規制をやめ、「普通に営業がしたい」 求められる、格差や差別を生まない対応
2人に「今、最も求めることは」と問うと、「批判的な提言をするつもりはない」としたうえで、「一切の規制をやめること。あるいはロックダウン並みの強力な対策をすること」と声をそろえる。小河さんが、「もちろん、感染防止の対策は必要です。ただ、国民はこの1年で知識をつけましたから、“普通に”やっていれば感染は落ち着くと思うのです」と言えば、瀬戸さんは、「世界的には『命令』が主流ですが、日本人は自粛『要請』で協力できる国民性。飲食は不要不急ではなく、人間が人間らしく生きるための最低限の営み=基本的人権ではないでしょうか。飲食店に営業自粛、協力金の支給などという策は打たずとも、基本的人権を尊重しながら、まん延を防ぐことができることを世界に示すべきです」と訴える。政府や自治体には、緊急事態宣言解除後にあっても、格差や差別を生まない対応が求められている。