兵庫県は16日夕、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、6月20日に期限を迎える緊急事態宣言が解除された場合でも、引き続き感染の収束に向けた取り組みを行っていく方針を確認した。政府に対しては「まん延防止等重点措置」の適用を含め、県が独自に取り組んでいく対策への財政面での支援など、適切な対応をとるよう要請した。
16日午後には兵庫・大阪・京都の3府県の知事によるオンライン協議も開かれ、「(宣言が解除されても)引き続き、『対策が続く』というメッセージを出す必要がある」との考えで一致した。この中で、重点措置の適用を政府に求めることを決めた大阪府に対し、京都府の西脇隆俊知事は、感染者数が減少局面にあるとして政府に措置の適用要請はせず、「国に判断を委ねたい」と述べた。ただし、京都市などを中心に飲食店への時短要請は続ける考えだ。
兵庫県の井戸敏三知事は、「2月末の先行解除の反省から、大阪の慎重の度合いが強い。兵庫の姿勢は(大阪と京都の)中間だが、3府県は同一歩調だ」と強調した。
井戸知事は兵庫の新規感染者が重点措置適用の目安を下回っているとして、措置の要否は国に委ねている。ただし「警戒は続ける必要がある」と強調、大阪に近い都市部を中心に、飲食店に対する時短要請は当面、継続すべきだとの認識を示した。大型商業施設については大阪と同様、土日の休業を解除する可能性に言及し、「もうそろそろ(解除してよい)とは思う」と述べた。
また吉村洋文・大阪府知事は16日、新規感染者が大幅に減り、医療体制の逼迫ひっぱく状態も緩和してきたとの認識を示した。ただ「リバウンドは防がないといけない」として、まん延防止措置への移行を政府に要請した。対象は府内の全市とする考え。
県は17日夕にも再び対策本部会議を開き、県民や事業者へ求める具体的な措置の内容を決める。井戸知事は期間について、「少なくとも2週間から1か月」とした。まん延防止等重点措置が適用される場合は、国が都道府県単位で適用し、知事が県内でエリアを決めることになるが、井戸知事は、「大阪との交流が重要な要素になる。酒類の提供や営業時間をどのようにするのかなど、飲食店への対応がポイントになるだろう」との見通しを示した。
県は、4月25日に出された緊急事態宣言下で、▼飲食店への酒類の提供禁止▼大規模商業施設の土日の休業などを要請。宣言は2回延長され、新規感染者数は、4月24日の629人から、6月16日の34人まで大幅に減少した。一方、6月16日時点の重症病床の使用率は27.2%と、政府の分科会が示すステージ3の指標(20%)を上回っているほか、同日時点の直近一週間の人口10万人当たりの新規感染者数は5.1人と、医療提供体制が安定していた第2波収束時(2020年8月末頃)の水準(2.5人)までの減少にはほど遠い。