劇作家・演出家の平田オリザさんがパーソナリティーを務めるラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西 木曜午後1時~)に、兵庫県豊岡市で二輪パーツの製品開発を行う株式会社ビトーアールアンドディー(BITO R&D)代表取締役社長、美藤定さんが電話出演。名メカニックとして世界を見てきた美藤さんが、帰国後に起業したときの話や、ふるさと豊岡に期待することなどを語った。
帰国後、バイクの研究もかねて美藤さんが妻と立ち上げた「ビトーアールアンドディー」。会社の顔ともいえる二輪用鍛造マグネシウムホイールが誕生するまでの道のりは長く、険しいものだったという。
「10年かかりましたよ。なんてったって、お金もない、商売のノウハウもない、お客もいない(苦笑)。モーター専門メーカーはレースが盛んな地域にしかないので、イタリアの有名メーカーまで年2~3回ほど足を運ぶのだけど、鋳造ホイールはなかなかできあがってこない。そりゃあ、レース用を優先して作るもんね。『こうなったら自分で作ろう、しかも作るなら彼らよりいいものを作ろう!』と。そこで、鋳造よりも強度の高い『鍛造ホイール』を開発しました。人生ってやるか、やらないか。やろうと思って信じてやれば、何とかできるんですよ」
そんな美藤さんの技術を学びに、今も世界中からやってくる若者が後を絶たない。
豊岡市工業会の初代会長も務めた美藤さん。「豊岡の魅力は?」という平田さんの問いに「広い面積に少ない人数、つまり一人に割り当てられる面積が広い。自然も壊されていないし、やりたいことがある人にはいい場所だと思います」と、その風土のよさを特長にあげた。
またふるさと豊岡に期待することとして「今年、初めて4年制の大学もできました。田舎はなかなか新しい風が吹いてこない。世界中、いろんな面白い人がいるんですよ。そんな人と出会えると視野も広がるし、豊かになる。いろんな人が風を吹かせてくれて、お互いに『ああ、こんな生き方もできるのか』と影響しあって自分の生き方をみつけてチャレンジしていけたら」と、自身の経験も踏まえながらコメント。芸術文化観光専門職大学の誕生が新たな息吹を豊岡に運んでくることを待望していた。
最後に美藤さんは「こんな小さな会社だけど世界中にお客様がいる。『ジョー・ビトー』というだけで、『あ! ホイール作ってるヤツか』と言ってもらえる。こういうことができるんだっていうことを見てほしい。みんながチャレンジャーになってくれたら」と挑戦することの大切さをひたむきに語った。
※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2021年6月24日放送回より
※『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。
『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp