日本の文化ともいえる「銭湯」をもっと活用してほしいと、神戸市は、市内の銭湯を大人と子どもで利用するとお得になる「地域子育て入浴割引」を、今年も6月からスタートしている。神戸市が毎年行っている取り組みで、今年は親と子どもとその友だちや、地域のクラブ団体など、親子に限らず「大人と子ども」であれば一緒に利用できるのが特徴だ。
現在、神戸市には32か所の一般公衆浴場、いわゆる昔ながらの「銭湯」がある。古くから営業している店舗が多く、中には60年以上の歴史がある銭湯も。神戸市内において銭湯は年々少なくなっているが、残っている店舗の多くは、今でも地域の集いの場となっている。神戸市では2018(平成30)年度から銭湯の利用促進に向けて親子割引制度を行い、地域の子育て支援と結びつけることで、銭湯文化の保存を目指している。
神戸市「地域子育て入浴割引」では、神戸市内32か所の銭湯において、インターネットで事前に電子申請すると、大人と子どもが一緒に銭湯を利用した場合、子どもの入浴料金が無料になる。さらに、子ども1人につき、大人1人の通常料金が半額(450円→220円)に割引。子どもの年齢は、18歳以下で神戸市内在住に限る。
より多くの方に利用してもらうため、昨年までは「親子」のみが対象だったが、今年からは対象者を「大人と子ども」に拡充。親戚同士や、親が子どもとその友だちを連れて行く場合、また地域のクラブ活動のあとにコーチと子どもが一緒に銭湯に入るなど、多彩な組み合わせで楽しんでもらうように範囲が広げられた。
神戸市健康局環境衛生課の東順子さんは「銭湯は地域の人が一緒に入るお風呂で、いろいろなマナーや“大人の所作”なども学べる場。そんな銭湯に、子どものうちに行くことで、世代を超えた地域の関わりを深めてほしい」と話す。子どものころから銭湯を訪れ、銭湯を利用する習慣ができることで、将来にわたって銭湯の活性化につながることを期待しているという。
申請方法は、神戸市のホームページからアクセスし、インターネット申請すると、スマホで提示して使える電子チケットが30枚交付される。マイナンバーカードを持っている人は、画像をアップロードすると、特典として10枚追加で交付される。紙のチケットは交付されない。
申込み受付期間は2022(令和4)年2月15日まで。利用は令和4年3月31日までとなる。利用する月の前月、15日までに申し込みが必要だ。
利用できる32か所の銭湯についての写真や特徴など、詳細は神戸市ホームページの「地域子育て入浴割引」に掲載されている。問い合わせは、生活衛生ダイヤル(電話078-771-7497)まで。
神戸市の銭湯では、平成30年度に制度が始まってから、若い世代の利用者が増えているという。神戸市健康局環境衛生課の西巻秀人さんは「神戸には素敵な銭湯がたくさんある。ぜひ利用して、これをきっかけに、若い世代にも銭湯をもっと身近に利用してほしい」と呼びかけていた。