満を持して1軍へ 阪神・岩田稔「先発・リリーフ関係なくどこでもいい、1軍でたくさん投げたい」 プロ16年目の決意 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

満を持して1軍へ 阪神・岩田稔「先発・リリーフ関係なくどこでもいい、1軍でたくさん投げたい」 プロ16年目の決意

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 当時の監督に「ちょっと調子が悪いので病院に行かせてください」と打ち明け、病院に行くと「1型糖尿病」の宣告を受けた。そこから毎日、1日4~5回の血糖値測定と注射を今も行っている。ひどいときには立っていられないこともあるというが、それでも病をコントロールしながらプレーを続ける。

 プロでの活躍の一方で、自身も「岩田稔基金」を創設。2009年から1勝につき10万円を「1型糖尿病研究基金」に寄付する活動を続け、そのほかにも毎年、1型糖尿病の患者・家族支援団体「日本IDDMネットワーク」を通じて、患者やその家族を阪神甲子園球場へ招待したり、シーズンオフに交流会を行うなど、様々な活動を実施している(一部、阪神タイガース公式サイトより引用)。

 そのきっかけは、担当主治医の言葉。そのときの医学では治らないこと、一生付き合っていかなければならないことを言われるも、「君が病気になったけれど、10年後20年後には治る病気になっているかもしれない」という話しがあった。

 そこで、「自分にしかできないことは何だろう」と考えた岩田投手。「研究基金では1回の研究に100万円の費用がかかると聞いている。費用を毎年寄付できたら、少しでも早く1型糖尿病を直す研究に役立つのではないか。1勝すると野球選手としてもうれしいし、寄付もできる」。

 活動を通して、実際に糖尿病を患っている子どもからも声が届く。手紙や質問も多々寄せられる。そのなかで、「人前で血糖値測定や注射を打つことが恥ずかしくてなかなかできない」という実情があったり、小児糖尿病を0歳から発症している子がいることを知る。自身も「悪いことをしていないのに、なんで隠さないといけないんだ?」という思いも経験した。それでも、「(高校時代)教室で注射を打つようになったらめちゃめちゃ楽になった」という実体験など、伝えていきたいことがある。「もちろん引退後もこの活動は続けていきたい、外に出て全国で苦しんでいる子どもたちのために話でもできたら」。

阪神・岩田稔投手(写真撮影は2020年のもの)

◆「いろいろなことにチャレンジを」

 藤川球児さんが昨年をもって現役を引退したことで、今、阪神の投手陣では、中田賢一投手(39)に次ぐ年長者となった、岩田投手。2021年シーズン前半は2軍で研鑽を続ける日々だったが、6月3日に阪神鳴尾浜球場で行われたオリックス・バファローズとのファームの試合では、5回69球、被安打1で無失点と好投するなど、来るべき出番に向けて準備を怠らず。その後も中継ぎで好投を続けるなど、ファームで12試合に登板し、防御率1.98という数字も記録。そして、7月6日、満を持して1軍昇格が公示された。

 新年の誓いでは、「先発・リリーフ関係なくどこでもいい。1軍でたくさん投げたい。1軍にいることにこだわりたい。いろいろなことにチャレンジして行きたい」と決意を語った背番号21。聖地・甲子園で、テーマソングであるベリーグッドマンの「ウグイス(Remix)」が流れるなか、切れ味鋭いボールを投げ込むサウスポーの雄姿を、ファンは待っている。

(文:黒川良彦)


【日本IDDMネットワーク(岩田稔基金)】

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