一方、エマの弟の天才科学者・天音(岡田将生)は、その技術を発展させ、「不老不死」を手に入れる。
彼と結ばれ、その施術を受け、永遠の若さと命を手にするリナ。
一方、エターニティ社では施術を受けない(あるいは受けられない)人たちが余生を送る療養ホームを、ある島に用意する。そしてそこにやってきた老夫婦、芙美(風吹ジュン)と利仁(小林薫)。
灯台を描いた絵でつながる記憶。すべてを受け入れる二人の生き方、人間は何のために生きるのかという、哲学的な問い。「死は生の中にあって、生は死の中にある」という死生観。モノクロでとらえられた画面の中で静かに熟成する思い。
ちょうど、コロナ禍の始まる前に撮られた作品だが、現在の閉塞感の中で、「他者とのかかわりや、家族とは何?」と改めて考えるきっかけになった。
鑑賞後の印象、受け取り方は様々だと思うが、いろいろと考えさせられるのは確か。それも、ひとり静かに考えるだけではなく、考えたことを誰かと語り合いたい、シェアしたいと思う映画だった。(増井孝子)
※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!』、「おたかのシネマdeトーク」より
◆『Arc アーク』
6月25日(金) 全国ロードショー
キャスト:
芳根京子、寺島しのぶ、岡田将生、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり/倍賞千恵子/風吹ジュン、小林薫
原作:ケン・リュウ『円弧(アーク)』(ハヤカワ文庫刊 『もののあはれ ケン・リュウ短篇傑作集2』より)
脚本:石川慶 澤井香織
音楽:世武裕子
監督・編集:石川慶
製作:2021映画『Arc』製作委員会 製作プロダクション:バンダイナムコアーツ
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2021映画『Arc』製作委員会
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