大阪市北区中之島に、「大阪中之島美術館」がこのほど完成し、報道陣に公開された。オープンは2022年2月。
大阪市は、1983年に市制100周年記念事業として近代美術館の建設を決めた。1990年に準備室が設置され、構想から30年を経ての美術館の完成となった。「30年という時間は、美術館の開館準備には長すぎるかもしれないが、作品収集には実り多い時間だった」と、菅谷富夫館長は振り返る。アメデオ・モディリアーニや佐伯祐三、戦後日本を代表する芸術運動の1つで中之島に活動拠点のあった「具体美術協会」など、19世紀から今日に至る作品を核に、2020年4月現在5700点を超えるコレクションを持つ。
美術館棟は地上5階建て。63メートル×63メートルの立方体で、フロアごとに東西や南北など方向が異なるパッサージュ(フランス語でアーケードという意味)が広がる。パッサージュは中之島美術館の核となる思想で、誰もが気軽にアクセスでき、建物の内と外を融合する空間になっている。1階から5階までの吹き抜け天井や窓からは光が取り入れられ、その中を各フロアをつなぐエレベーターが斜めのラインを作る。様々な線が、訪れた人を楽しませる工夫がされている。
展示室は4階と5階。5階は天井高が6メートルの3つの展示室からなり、特別展などを想定している。4階はコレクション展を想定しており、展示室の一部は黒い壁となっている。ここは「具体美術協会」の作品を展示するスペースになるという。
黒というと、中之島美術館の外観も黒い。設計者の建築家・遠藤克彦さんは「周囲はグレーの建物が多く、都市の中で埋没しない存在理由を表現できる。また環境建築として、光の反射を少なくするなど周囲にへの影響も考えた」と話す。
菅谷館長は「単に建物が新しいだけではなく、これから市民の皆さんとどう向き合っていくかを考えないと新しい美術館の存在意義はない。大変というより今はワクワクしている」と期待を込めた。
オープンは2022年2月2日。開館記念の「Hello! Super Collection 超コレクション展99のものがたり」では、これまでに収蔵したコレクションから代表作品を選んで展示する。