18日に投開票された兵庫県知事選挙で、約86万票を集め初当選を果たした元・大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)が、当選翌日・19日午後、ラジオ関西(神戸市中央区)の番組に生出演した。斎藤氏は、「『知事って遠い存在だよね』とあちこちで言われた。もっと県民と近い、フランクな知事になりたい。43歳の若さとフットワークで頑張る」などと、抱負をいきいきと語った。
18日夜は「よく眠れました」という斎藤氏は、「実感は、まだ完全にはわいていない。85万以上の県民の皆さんから強いご期待をいただいた。新しい兵庫県を作ってほしい、という強い期待の表れだと思っている」と、改めて感謝を口にした。県のコロナ対応に危機感を持ち、直感的に知事選への立候補を決意してから約1年経つ。斎藤氏は、「ここまで急に動くとは全く思っていなかった。総務省に入る20年前から、兵庫に戻って知事になるのが夢だったが、知事選への挑戦は普通はできない。いろいろな議員の先生方、友人、家族など、どんどん支援の輪が広がっていった」と振り返った。
■新たに「ワーケーション知事室」プラン表明
知事選出馬表明は3月31日。4月以降、県内全41市町をくまなく回った。斎藤氏は「全県でよく聞かれたのが、人口減少の問題を何とかしてほしいという声。あらゆる世代、あらゆる地域の方からそういう声を聞いたので、いろいろな投資をしたい」と言い、「▼住む▼働く▼地域社会に溶け込む、という3本柱で、『ワーケーション知事室』をやりたい」と、具体的なプランを示した。
斎藤氏の公約の一つで、「例えば但馬地域の古民家に数日間滞在し、昼間はリモートで県庁とつないで仕事をする。夜は地域の皆さんと座談会を開いて、色々な課題を聞き、県政に繋げていく。コロナが落ち着いてからにはなるが、『ぜひきてほしい』という期待が強い」(斎藤氏)という。
選挙戦では、「守るべきものは守り、変えるべきものは変える」と繰り返し訴えた。斎藤氏は、「まずは行財政改革をしっかり行う。未来に向けた投資のためには財源が必要だが、兵庫県には約30億の貯金(財政調整基金)しかなく、これは全国でもかなり少ない。本当に続けるべき事業かどうかをしっかり洗い出し、財源を生む」としたものの、「特にコロナで県民は大変な状況。県民の暮らしを守ることが第一で、その上で変えるべきことは変えていきたい」と配慮を見せた。
■大阪の言いなりではない、兵庫県民のため「身を切る改革」報酬・退職金削減も明言
斎藤氏には自民党と日本維新の会が相乗りで推薦を出した。吉村洋文・大阪府知事、松井一郎・大阪市長らは大阪府時代の上司だった。一部の県民から「大阪の言いなりになるのでは」いう心配の声があることを指摘されると、「そこはない」と即答。「私はあくまで、県民の大きな支援を受けて知事になった。県民のための県政をやっていく。兵庫県のために何ができるか、が大事だ」強調した上で、斎藤氏は「これからは兵庫県だけでやっていく時代ではない。特に産業や観光。『壁をつくる』などという対立ではなく、仲良く連携していくことを必ずやらなければならない」と訴えた。