イラストレーター「原田治」(1946-2016)。その名前は知らなくても、誰もがその作品を目にしたことがあるはず。1950年代から60年代のアメリカのポップアートなどから影響を受け、日本の「かわいい」文化に大きな影響を与えた「原田治」の全貌に迫る特別展「原田治展 『かわいい』の発見」が、神戸市東灘区の神戸ファション美術館で開かれている。2021年8月29日(日)まで。
1970年代後半から90年代にかけて女子中高生を中心に大人気となった「OSAMU GOODS」をはじめ、ミスタードーナツや、カルビーポテトチップスのポテトのキャラクター(通称:ポテト坊や)などは原田の手から生み出された。会場にはイラストレーターとして活動するきっかけとなった1970年代の雑誌「an・an」(マガジンハウス)の仕事をはじめ、広告・出版・グッズなど450点が展示され、多岐にわたる仕事を紹介している。
会場は、壁を高くした造りになっていて何も展示されていない壁もある。次のセクションに行くまで何があるのかわからず「ワクワク」させるような演出だ。
原田の作品はシンプルな線と爽やかな色づかいが特徴。インスピレーションのもととなったマザーグース、当時は珍しかった「泣いている女の子」などの原画や、銭湯の暖簾(神戸会場で初お目見え)など会場のあちらこちらに「かわいい」が並んでいる。
自らの画風を崩せないイラストレーターが多い中、原田は5年間で10種類もの描写スタイルを生み出したとされる。また装丁を担当した書籍も並び、幅広い仕事を手がけていたことがわかる。
神戸ファッション美術館の亀山正芳学芸部長は「漫画家などは作品と名前が一致している人が多いが、イラストレーターでは、作品は知っていても名前を知らない人が多い。原田の作品は誰もが一度は目にしており、これも、あれもそうなんだ、という驚きを楽しんでほしい」と話す。
◆特別展 「原田治展 『かわいい』の発見」Osamu Harada: Finding “KAWAII”
会場 神戸ファッション美術館(神戸市東灘区向洋町中2-9-1)
会期 2021年7月3日(土)~8月29日(日)
休館日 月曜・8月10日(ただし8月9日は開館)
【公式サイト】