かつて兵庫県の西南、西播磨といわれる地域には、数多くの城が存在していました。そんな歴史的な山城を復活させようというプロジェクトの1つ、「御城印」をご存知でしょうか。
これは、西播磨地域(相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町)に130以上ある山城をはじめとする史跡や伝統文化体験を活用していこうという、西播磨ツーリズム振興協議会「西播磨山城復活プロジェクト」内で進められているものです。
同プロジェクトは、2020年3月、かつての山城を楽しむことができるアプリ「西播磨の山城へGO」をリリース。兵庫県内の西播磨エリアに残されている山城を、史料や遺構から考証し、3DCGで再現しました。そして今年、発売したのが、西播磨の主要な山城、「山城11(イレブン)」の御城印です。
「山城11」としてピックアップされているのは、感状山城(相生市)、龍野古城(たつの市)、城山城(たつの市)、尼子山城(赤穂市)、坂越浦城・茶臼山城(赤穂市)、篠ノ丸城(宍粟市)、長水城(宍粟市)、楯岩城(太子町)、白旗城(上郡町)、利神城(佐用町)、上月城(佐用町)の11か所、12の城。それぞれの御城印は、城のマークの上に、書道家により、城の名前が書かれています。価格は1枚400円(篠ノ丸城、白旗城は1枚300円)。
この御城印が好評で、追加販売も行われているなか、御城印の販売から1か月後となる4月29日には御城印帳「西播磨の山城へGO」も登場。「山城11」の御城印を収納でき、蛇腹式で集めた御城印を飾ることができるだけでなく、クリアカバーを付けると手帳のように持ち歩くことも可能だといいます(1冊2,500円、収納ポケット数は18)。
今回はそんな御城印の“書”を手掛けたうちの1人、赤穂市出身の書道家・木村聴風さんに話を聞きました。
友人である書道家・蟠龍(ばんりょう)さん(岡山県)とともに、御城印の書を手掛けた木村さんは、「実際に山城を見てイメージを膨らませた」と言います。自身で見た城のイメージに合わせて字体を変えてみるなど、随所に工夫も。また、使用した和紙は地元、佐用町で作られている「皆田和紙」。これにも木村さんのこだわりが出ているようです。
木村さんは幼少期、数々の習い事をするなかで唯一、「自分からやりたい!」と習い始めたのが書道だったそう。それは今でも続き、書道家としても、墨で書いた文字を大切にしていると語ります。
そんな木村さんは、普段、きれいに文字を書く書道も教えていますが、一方で自身には夢があると言います。「今もなお兵庫県・赤穂市に残る大石内蔵助や赤穂四十七士に関する書物、その中の文字という文化を後世に伝えていきたい」というものです。「今回、御城印を手掛けたことは、その一歩にもなれれば」と言います。
※ラジオ関西『笑って暮らそう』2021年8月31日放送回「ぐるっと西播磨」より
【西播磨ツーリズム振興協議会ホームページ「西播磨遊記」】