西洋美術史の教科書「ポーラ美術館コレクション展」あべのハルカス美術館で開催 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

西洋美術史の教科書「ポーラ美術館コレクション展」あべのハルカス美術館で開催

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 富士箱根伊豆国立公園内にあるポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原)。日本屈指の西洋の近代美術のコレクションを持つ美術館として知られている。そのコレクションのうち、「おいしいところ」を集めた特別展「ポーラ美術館コレクション展 モネ、ルノワールからピカソ、シャガールまで」が、大阪市阿倍野区のあべのハルカス美術館で開かれている。2021年9月5日まで。

 ポーラ美術館の西洋絵画コレクションは、19世紀フランス印象派からポスト印象派を経て20世紀の絵画に至る各画家の初期から晩年までの作品を体系的にたどっているのが特徴という。

 その「おいしいところをぎゅっと集めた」今回の特別展では、28人の画家の作品74点のほか、当時の化粧道具なども紹介する。

 19世紀のフランスでは、既製服が生まれ、印刷技術の発達に伴いファッション雑誌が誕生するなどファッションを巡る状況が大きく変化した。絵の中の女性からは当時の流行のファッションが見て取れるという。

 19世紀後半になると、パリは大改造により近代都市へと生まれ変わった。鉄道が敷設され、人々は週末になると郊外でかけるようになる。それまでアトリエ(室内)で歴史画を描いていた画家たちも、風景画や人物画を描くようになり、その技法にも変化が生まれる。

 ルノワールの《レースの帽子の少女》。帽子の立体感を簡潔な筆致で、またドレスの質感を巧みな色づかいで表現している。絵の具を混ぜると生まれる濁りを避けて明るい色を置いていく「筆触分割」という新しい技法が取り入れられている。

 この作品の3年前に描かれた《髪かざり》。ここで少女が着ているドレスは《レースの帽子の少女》が着ているドレスと同じではないかとされている。

 20世紀になると、画家たちはそれまでになかった色彩や形を、自分の表現で追及するようになる。実際とは違う大胆な色づかいのマティスや、1つのものを記号化して幾何学的な形で描くピカソなどが活躍。第一次世界大戦後、芸術の都パリに集まったモディリアーニやユトリロなど「エコール・ド・パリ(パリ派)」の作品も並ぶ。

 ポーラ博物館のコレクションを大阪で見られるのは初めてで、あべのハルカス美術館の藤村忠範上席学芸員は「同じ画家でも違う時期の作品を見ることができる。美術史の教科書のようだと表現されることもあるコレクション」と話す。


◆ポーラ美術館コレクション展 モネ、ルノワールからピカソ、シャガールまで
会期 2021年7月9日(月)~9月5日(日)
会場 あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1−1−43 あべのハルカス16階
【あべのハルカス美術館 公式HP】

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