モロッコやインディオの人々を描いた中西勝は1965年から1970年にかけて世界一周の旅をした画家だ。世界の貧困の中でもたくましく生きる人々に衝撃を受けたという。メキシコ壁画運動に影響を受けたとも考えられ、メキシコの街「フチタン」で働く女性などを描いている。横幅3メートル以上にも及ぶ大作・「モロッコの晝市」も見逃せない。
海外に積極的に向かった神戸の画家たちをはじめ、戦前の神戸の文化人の息吹が感じられるのが「アカデミー・バー壁画」だ。谷崎潤一郎や佐藤春夫などの文化人が集い神戸の文化サロンとして有名だった「アカデミー・バー」の白い漆喰壁に、1950年頃から順次、訪れた芸術家たちが寄せ描きを行ったものだ。小磯良平や田村孝之介などの画家や、阪神間で活躍した人々が1954年頃まで大小さまざまに揮豪(きごう)している。
神戸ゆかりの美術館の金井紀子さんは「画家たちが当時いろんな苦労をして海外へ出向いて体験した興奮や喜びが絵の中に詰まっている。絵を見て、観光だけではなく、いつか海外へ行っていろいろな体験をしようと思ってもらいたい」と述べている。
※ラジオ関西『サンデー神戸』2021年8月15日放送回より
◆企画展「世界周遊~神戸ゆかりの画家たちが見た外国風景~」
会場 神戸ゆかりの美術館(兵庫県神戸市東灘区向洋町中2丁目9-1)
会期 9月12日(日)まで
入館料 一般200円、大学生・65歳以上100円
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜
問い合わせ 電話078-858-1520
(政府の新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」発令により開催時間など変更の場合があり)
【神戸ゆかりの美術館 公式HP】
【『サンデー神戸』番組HP】