園児の定員超過や少量の給食など 不適切な保育実態が指摘され、問題となった姫路市の認定こども園「わんずまざー保育園」(廃園)で、 約9400万円の給付金を不正受給したとして、詐欺罪に問われた元園長の女(49)の控訴審が25日、大阪高裁であった。大阪高裁は一審の有罪判決(神戸地裁姫路支部・懲役2年6か月、執行猶予4年)を支持し、元園長の控訴を棄却した。元園長は出廷しなかった。
元園長は2015年4月から約2年間、最大定員48人を上回る60人以上の園児を受け入れていることを隠して市に虚偽の申請書を提出し、姫路市からの給付金約9,400万円をだまし取ったとされる。
大阪高裁は判決で、元園長が保育園を利用できる子どもの定員を大幅に超えたにもかかわらず、受け入れ可能な48人のみを保育していたと装った悪質性を指摘した。そのうえで2年近くも9400万円もの給付金を不正に受給した詐欺行為は軽く見ることができないとして一審の神戸地裁姫路支部の懲役2年6か月、執行猶予4年の判決を支持し、元園長の控訴を退けた。
「わんずまざー保育園」をめぐっては約40人分の給食を70人で分け、おかずがスプーン1杯分しか行き渡らないなど不適切な保育実態が指摘された。
裁判を傍聴した元園児(現在7歳・小学1年の男児)の保護者はラジオ関西の取材に対し「当然の結果。ただ、子どもたちへのずさんな食事提供について、何も触れられないままなのは残念でならない。不信感はぬぐえない。息子はわんずまざー保育園に2年通っていたが、当時小柄だっただけに日常から食事の少なさを訴えていたので不審に思っていた。母親の立場では、やはり生育にも影響するので心配だった。『食育』の重要性を改めて感じている。園児の水増し保育も含めて、この判決が全国の保育園の運営に対する警鐘になれば」と話した。