消費税増税(2019年10月)で導入されたキャッシュレス決済のポイント還元制度への加盟店登録が認められず準備費用が無駄になったとして、生活協同組合「コープこうべ」(本部・神戸市東灘区)が国に約2800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は31日、国に1186万円の賠償を命じた。
判決によると、還元制度は中小店舗が対象で、決済手数料などを国が補助。参加店で客が電子マネーなどで支払いをすれば、購入額の最大5%分のポイントが付く。会社形態以外の事業者である農協や生協なども、一定の課税所得要件を満たせば登録を認めると要領で規定。コープこうべは系列店のみで使える電子マネー「コピカ」の事業者として加盟店登録を申請したが、2019年に経済産業省から「実質的に大企業と同じような事業規模なので登録を認めない」と通知された(提訴は2019年10月28日)。
神戸地裁は判決で、課税所得要件を満たせば登録を認めるとする当初の方針を変更したことで、コープこうべ側のカード21万枚分の増刷費やレジシステムの改修費などの支出が無駄になり、損害を被ったと指摘した。そして経産省が当初の要件に加え、コープこうべの事業規模を考慮して加盟店登録を拒否したことは、国家賠償法上違法となると判断した。
コープこうべは「判決では国の責任が正面から認められ、主張がおおむね認められた」とコメント。 一方、経産省キャッシュレス推進室の担当者は「関係省庁で内容を精査して対応を検討していく」とコメントした。