ペルシャ絨毯(じゅうたん)のある生活に憧れたことはないだろうか。ただ、一口にペルシャ絨毯と言っても、実に多くの種類があるのだという。産地ごとのペルシャ絨毯の特徴について、「絨毯ギャラリー」(神戸・六甲アイランド)の代表、大熊直子さんに話を聞く。
絨毯ギャラリーは1976年、大阪市中央区に日本で初めての日本人店主によるペルシャ絨毯の専門店として大熊さんの父が開業された店で、2000年に六甲アイランドに移転したそうだ。「当店には世界中から集めた4000点ほどのペルシャ絨毯の在庫があります。新型コロナウイルスが流行する前は、買い付けのために思い立ったらすぐにイランへ行っていました」(大熊さん)
ペルシャ絨毯は大きく分けると、都市で織られたものと遊牧民が織ったものという2種類に分けられる。都市で織られたペルシャ絨毯には図面があり、緻密なものが多く、ナイン、タブリーズ、イスファハン、クム、カシャーンという5大産地が有名。絨毯ギャラリーで特に人気なのはナインとタブリーズのものだという。
「ナインはシンプルかつ、日本の家に合いやすいデザインで、初心者向けです。タブリーズの『マヒ柄』と呼ばれるものは男性が織っているので糸を締める力が強く、目が詰まっているために丈夫。イスの下に敷いて、イスがこすれても問題なく使っていただけます。マヒは日本語に訳すと『魚』という意味ですが、魚が水面を跳ねているようなイメージで、末広がりのため縁起がいいとされています。」
一方、遊牧民が織ったペルシャ絨毯は「ゾランヴァリギャッベ」と呼ばれ、絨毯ギャラリーは日本での総代理店をしている。ゾランヴァリギャッベはギャッベという絨毯のなかでも、肌着のように長時間素肌に触れていても安全である世界基準「エコテックス」に認証されている。ユネスコ無形文化遺産に登録されたのがきっかけでブームとなっている。
絨毯と聞くと、夏に使うと暑いのではと思ってしまうが、そうではないのだという。
「天然ウールのものは、夏は涼しく、冬は暖かい性質を持ちます。目が詰まっているので中までホコリが入りにくく、手入れも簡単。ウールには油分が含まれているため、液体をこぼしても弾くので拭き取りやすくなっています。ペルシャ絨毯は手織りのものなので修復も可能で、クリーニングもできます。100年使える一生ものとなっており、経年変化で色の移り変わりを楽しんでいただけます」