神戸医療産業都市の成長を先導・支援している団体が「神戸医療産業都市推進機構」。ここは、新しい医療技術の研究開発を自ら行う「研究者」の役割、そして様々な人・企業の間をつなぐ「コーディネーター」、さらに神戸にさらなる人が集まり、新しい医療技術が生まれるように考える「仕掛人」の役割も担う。一口に医療産業に関わる研究開発と言っても、その内容は幅広く、段階によって様々なものがある。スタートは主に大学や研究機関、ゴールは企業が担う。その途中段階を橋渡しする大切な役割が「神戸医療産業都市推進機構」だ。
時には研究という形、時には大学の持っている技術と企業が求めている技術を紹介という形でつなぐことで、橋渡しを行う。また医療の現場である病院で必要なもの、企業が現場で使えると考える技術を直接意見交換できる機会を作ることも。理事長は2018年ノーベル賞を受賞された本庶佑さんだ。今年の4月には、本庶さんのノーベル賞受賞と神戸医療産業都市推進機構の20年を契機に神戸市、兵庫県、経済界の支援のもと、新しい研究施設である次世代医療開発センターが開設するとともに、この秋からは感染症に関する新しい研究部門がスタートすることになっている。研究のスタートから患者を治すというゴールまで、一人ではなく多くの人をつなぎながら実現していくというのが神戸医療産業都市の特徴だ。
◆神戸医療産業都市の成果
20年以上が経過した神戸医療産業都市は、これまで様々な成果を上げてきた。まず国産初の手術ロボット「hinotori」の開発。株式会社メディカロイドが開発したが、開発にあたってはパートナーである医療機関や手術トレーニングができる研究機関がすぐ近くにあったという、この都市ならではの特徴が大きくプラスになったと言われている。次に「キムリア」という白血病などの治療薬は、非常に高度な製造技術が必要だが、神戸医療産業都市推進機構の団体がアジア初、日本で唯一製造することができるようになっている。また、世界一の能力を誇るスーパーコンピュータ「富岳」が、神戸医療産業都市の中にあり本格稼働を開始している。これからは「富岳」の活躍により、さらに神戸の研究開発がスピードアップするものと期待される。
そして、神戸医療産業都市は新型コロナウイルスへの対応でも力を発揮。神戸ラボを神戸医療産業都市のなかに持つ株式会社イーベック(本社:北海道札幌市)が新型コロナウイルスの治療薬となる抗体を開発したと8月末に発表。猛威を奮っているデルタ株にも効果が確認されており、国の承認が得られれば初の国内治療薬として、安定的な治療薬供給に力を発揮すると期待されている。
また、株式会社メディカロイド(本社:神戸市中央区)は自動PCR検査ロボットシステムを開発。遠隔、自動で検査ができることで、医療従事者の感染リスクや作業負担を減らし、PCR検査体制の強化に役に立っている。
◆「神戸医療産業都市 一般公開2021 ONLINE」
開催日 2021年10月30日(土)~31日(日)
※10月30日(土)午前10時~ 一般公開特設サイトで公開予定
【公益財団法人神戸医療産業都市推進機構】
【公益財団法人神戸医療産業都市推進機構】
【『サンデー神戸』番組HP】