前置きが長くなりましたが、今回の「千秋楽」と何が関係しているのかと言いますと、「秋」という字の中には「火」という文字が使われています。何度も火事に見舞われた当時の江戸の人たち、特に芝居小屋の人たちはこれを忌み嫌い、「火」という字が入る「秋」ではなく、「穐」を使うようになったそうです。「亀は万年」というほど、長命で縁起もいいとされる生き物です。こうしたことも「亀」という字をあてた理由のひとつのようです。ちなみに、余談ですが、実は現代でも各地の劇場やホールの緞帳の裏側には「火の用心」という文字が書かれています。これも当時の名残と言えそうですね。
言葉は時代とともに、その意味も使い方も変化します。「ことばコトバ」では、こうした言葉の楽しさを紹介していきます。
(「ことばコトバ」第21回 ラジオ関西アナウンサー・林 真一郎)