絵画だけど圧倒的な立体感 今にも動き出しそうな金魚たち 「金魚絵師 深堀隆介」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

絵画だけど圧倒的な立体感 今にも動き出しそうな金魚たち 「金魚絵師 深堀隆介」

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 まるで生きているような金魚がそこにいる。透明樹脂にアクリル絵の具で描き、それを何層も重ねて立体感を生み出す。そんな独自の手法で注目を集める現代美術家・深堀隆介の作品を集めた特別展「金魚絵師 深堀隆介 金魚鉢、地球鉢」が、神戸市東灘区の神戸ファッション美術館で開かれている。2021年11月7日(日)まで。

 深堀は自らを「金魚絵師」と呼ぶように、描くのは金魚だ。器などの中に樹脂を流し込み、2日間待って固める。その表面にアクリル絵具で金魚のヒレを描く。さらにその上に樹脂を重ね、2日後乾いたら胴体……この作業を繰り返すことで、絵が重なり合い、立体感のある「生きているような存在感」の金魚が生まれる。

 絵が重なることで見えなくなるであろう「うろこ」も1枚1枚しっかり描く。樹脂が乾く時間を考えると一つの作品を仕上げるのには気の遠くなるような時間がかかる。

 深堀にとって金魚は「恩人」だという。制作活動に行き詰まり、あきらめかけたときに、部屋で飼っていた1匹の金魚が目に入った。小さな水槽の中の姿に悶々としている自分の姿を重ね、どの金魚よりも美しく見えたという。この体験を「金魚救い」と名付け、以来およそ20年金魚ばかり描き続けている。

 金魚酒と名付けられた一合枡に描いたシリーズは、2003年から最近の作品が並び、その技法の進化しているのがわかる。

 このほか会場には桶や椀、箪笥(たんす)や引き出しなど様々なところに描かれた作品300点が展示されている。深堀は身近にあるものに樹脂を流し込み、金魚を描いた。平面に見えるけど立体感がある作品は躍動感にあふれ、不思議な美しさをたたえている。

 最後のコーナーは、屋台の金魚すくいを再現。ラジカセから流れてくるラジオ番組は「DJ深堀隆介」だという。

 また、ドレスコレクション展「赤い服と青い服」も同時開催。金魚の代表的な色・赤と水の青、対照的なこの2色は衣服の世界でも古くから親しまれ愛され続けてきた。古今東西の「赤」「青」を楽しめる。

神戸ファッション美術館

◆特別展 深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」
会期 2021年9月11日(土)〜11月7日(日)
会場 神戸ファッション美術館
神戸市東灘区向洋町中2-9-1(六甲アイランド)
休館日 月曜
【神戸ファッション美術館 公式HP】

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