「断食月には味見ができなくなるシェフも」 多文化社会で求められる人材の育成とは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「断食月には味見ができなくなるシェフも」 多文化社会で求められる人材の育成とは

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 今年4月に開学した芸術文化観光専門職大学(兵庫県豊岡市)では実践経験が豊富な実務家教員が指導にあたっている。

 芸術文化観光専門職大学の学長も務める平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』木曜午後1時~)に、観光資源・ホスピタリティ実習等を担当する同大学の教員が電話出演。グローバル時代の人材育成について語った。

 芸術文化観光専門職大学で助教を務める高橋加織さんは、20年以上ホテル業に従事し、マレーシアを拠点に4つ星以上のホテルブランドでフロントやレストラン、宿泊客の相談や人材育成等に携わってきた。

芸術文化観光専門職大学・助教の高橋加織さん

 マレーシアはマレー系が約70パーセント、中華系が22パーセント、インド系が7パーセントという人種で構成され、言語や宗教、文化も異なる国。高橋さんによると、職場に「お祈りの部屋」が設けられ、イスラム系従業員は1日5回決められた時間に祈り、持ち場に戻るのは日常の風景だという。「和食レストランを担当していたとき、イスラム系シェフは断食月に入ると『味見』ができなくなるんです。試食はすべて日本人シェフにお願いするしかない。しかも和食はみりんなどが使われることも多いので、どうしても酒類が入ると難しいですね」と当時を振り返った。

 そんな多文化社会におけるチームビルディングに必要なことについて、高橋さんは「それぞれの『当たり前』を理解し、配慮すること」だという。

「イスラムのスタッフは気温が30度を超える中でも断食月には水を飲むこともできない。彼らは小さいころからの習慣だとはいうのですが、スタッフ間では暗黙の了解で断食月には彼らの前ではできるだけ飲食をしないようにしていました」(高橋さん)

 一方、ホテルの「なんでも屋」ともいえるコンシェルジュの仕事については、「お客様の要望に応えるため、地域資源はもちろん近隣で行われているイベントや公演など情報収集が欠かせない」そう。ホテル同士の横のつながりを活用したり、地域イベントに積極的に参加してみることも必要になる。

 学長の平田さんは「(芸術文化観光)専門職大学では、フロントマンではなく、コンシェルジュを育てたい。卒業生たちが将来、県内のホテルに就職し情報共有できるような流れになれば」と期待を寄せた。

芸術文化観光専門職大学の学長を務める、劇作家・演出家の平田オリザさん

※『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。

『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp

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平田オリザの舞台は但馬 | ラジオ関西 | 2021/10/14/木 13:00-13:25

放送後1週間聴取可能、エリア内無料 radikoプレミアム会員はエリア外聴取可

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