絵画を隅々まで味わう 「絵画はつづく、今日にむかって」 芦屋市立美術博物館 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

絵画を隅々まで味わうコレクション展「絵画はつづく、今日にむかって」 芦屋市立美術博物館

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 画家によって「何」を「どう描くか」は様々だ。作品として完成した「絵画」は、画家自身が「何がよい絵画か」を考えて出した答えともいえる。ひたすら絵画に向き合うコレクション展「絵画はつづく、今日にむかって」が、芦屋市立美術博物館で開かれている。2021年11月21日(日)まで。

 展示されているのは、絵画のみ。芦屋市立美術博物館のおよそ1470点のコレクションの中から選りすぐったおよそ80点ととにかく向きあう。

 画家によって表現方法は違う。見たものをそのまま描く人。自分の中のイメージに置き換えて描く人。モチーフ(モノ)を主役にする人。イメージを主役にする人……。様々だ。

 黒田重太郎の《静物》は、黒田が見たままを描いている。同じ「白(色)」でも果物が持つ固有の色と、光を表現した部分では、違う「白」になっている。つまりモノが主役と言える。一方、山田正亮の《Work C-75》は、色彩が主役である。無数の同じような線が並んでいるように見えるが、絵の具のたれ具合やかすれ具合にこだわっているという。

 紙やカンバスという限られたスペースに閉じ込められた色彩や線、そして見る角度によって生まれる陰影や凹凸など、さまざまな表情を感じ取れる。

 画家自身の表現方法の変化がわかるものもある。フランス・パリで佐伯祐三に出会い、スケッチ旅行にも同行したという大橋了介。会場には佐伯との出会いの前後に渡って描かれた3点が並ぶ。絵の具の塗り方やモチーフのとらえ方の変化を見て取れる。

 これだとわかるモチーフではなく、線や絵の具で表現したものを作家の動機という「モチーフ」に位置付けた作品もある。あるルールや秩序のもとで画面を構成した色彩や線、最小限の色彩と線によって描かれたものや絵の具の存在感を前面に出したものなど、見る側は作家が何を考えていたのかを作品を通して追体験することができる。

芦屋市立美術博物館

◆芦屋市立美術博物館30周年記念 コレクション展
「絵画はつづく、今日にむかって」
会期 2021年9月18日(土)~11月21日(日)
会場 芦屋市立美術博物館(兵庫県芦屋市伊勢町12-25)
0797-38-5432
【芦屋市立美術博物館 公式HP】

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