この映画は高校生たち若者の群像劇であると同時にミュージカルとして楽しめる作品で、メインキャラクターの声を俳優が務めています。
主人公のAI・シオン役は土屋太鳳、サトミ役は福原遥、トウマを工藤阿須加が演じます。
土屋の声の演技と歌が見事。歌声でミラクルを起こす高校生AIの役柄として、機械と人間のちょうど中間の声をリアルに表現しています。
土屋はAI役の演技について「頭脳を持っているけれど、人間の呼吸をもっているわけではない、でも感情がある。どう演じたらいいかわからないので、家の中にある AI 音声をいろいろと聞いて研究した」と語っています。給湯器の“お風呂が沸きました♪”の音声を何度も聞いて練習したそうです。
ミュージカルの場面では土屋が感情豊かに歌声を響かせていて、劇中の4曲が観客を惹きつける大きなポイントとなっています。
コロナ禍で、歌を指導する先生と対面トレーニングができないなど苦労したそうですが、その分、作品やキャラクターへの愛が深まったようです。
トウマ役の工藤は今回、声優初挑戦。自宅で試行錯誤を重ねながら、地声よりちょっと高めにするとキャラクターに合うことに気づいたそうです。小さい頃からアニメが大好きだったという工藤は「僕にとって最高の作品です。小さい頃からずっと見ていて、そんなアニメの声優を出来るという機会を頂けただけでも夢のようでした」と演じる喜びを話しています。
監督は『イヴの時間』『サカサマのパテマ』などで注目される吉浦康裕です。シオンの健気な性格・突然歌いだす行動が、物語の後半で観客の感動を誘います。観る人の不思議な感覚を爽やかに解き明かす、『アイの歌声を聴かせて』は10月29日(金)に全国公開。(SJ)