兵庫県尼崎市発注の水道工事をめぐる贈収賄事件の初公判が8日、神戸地裁で開かれ、業者への便宜供与の謝礼で現金などを受け取ったとして加重収賄罪や入札妨害罪などに問われた市水道建設課・元技術職員A(33)とB(26)は、いずれも起訴内容を認めた。
一方、贈賄罪などに問われた市内の土木工事会社社長の男(52)、社員の女(46)も起訴内容を認めた。
検察側はAに懲役3年、追徴金約243万円などを、Bに懲役3年、追徴金約235万円を求刑。社長と社員にはそれぞれ懲役2年を求刑した。弁護側はいずれも執行猶予付き判決を求め、即日結審した。判決は12月8日。
起訴状によると2018~2021年、水道工事の入札で村上被告らに設計金額を教える見返りに、A被告は現金計250万円、Bは現金計230万円と、それぞれ高級ブランド「ルイ・ヴィトン」や「ボッテガ・ヴェネタ」製の財布を受け取ったなどとしている。
検察側は、施工能力の高い土木会社から設計金額の教示を依頼され、「一緒に仕事がしたい」と考えたAが収賄行為を繰り返し、Aの妻の出産にともなう育児休暇中に、後輩のBも金品を受け取るようになったと指摘した。
■加重収賄罪に問われた被告の妻「当時、犯罪の認識なし」
土木会社からの飲食接待の場に同席したAの妻は、8日に行われた証人尋問で「公務員として接待を受けることが、『よくあることなのかな』と思い、当時は犯罪という認識はなかった。しかし今となっては軽率な行動だった反省している」と述べ、Aが弁護士会に90万円の「贖罪(しょくざい)寄付」をしたことを明かした。