暮れの酉:実は、昭和の初期に出版された占いの教本にも、「昨今は占いがとても流行していて〜」というようなことが書かれているくらいで、占いはこれまでにも何度もブームになっているんです。
ただ、近年また占いが盛り上がっている理由は、「多様性の時代」が来ているからということがあるのかな?と考えています。昔なら、いい学校を出て、いい会社にお勤めして、結婚して……というように、人の生き方に一つの理想のモデルがあったような気がします。でも、最近ではもうそんな価値観は通用しないですよね。「多様性」が認められる社会になって、生きやすくなった人も増えてはいますが、人生にお手本的なものがなくなって「生き方の正解」が人それぞれになったことで、「自分はどうすれば良いのだろう?」という悩みを抱える人も出てきたのかなと思います。
そんな中で、生き方のヒントやアドバイスが欲しいという欲求が生まれ、そういった答えのない悩みを占いに託してみようという人が増えているのかなと考えています。
――占いの鑑定を受ける際の心構えがあれば、教えてください。
暮れの酉:自分を見つめ直すツールとして使う、くらいに考えるのが良いのではないでしょうか?占いは、でたらめに思えることもあるかもしれませんが、突き詰めると先人の培ってきた生活の知恵が元になっています。これまでの歴史の中で、人間が共通の壁や悩みにぶつかった時にどうすればいいのか?という考え方や捉え方の集積の結果なんです。なので、僕たち占い師も知っておかないといけない知識は沢山あるし、勉強するべきこともつきません。ただし、占いは科学ではありません。占い師側にも「バランス感覚」はとても大切だと思っています。占いはあくまで「そういう考え方もあるんだ」という人生のヒント。「占いに乗っ取られないで」ということは伝えたいです。人生の主役はあなた自身です。
(取材・文=村川 千晶)