シングルマザーのハイディ(ジュリアン・ムーア)と2人暮らしのエヴァン・ハンセンは17歳の高校生。社交不安症をかかえ、友人もおらず、孤独感や劣等感を抱えながら自分の居場所を探す毎日。腕を骨折してギプスをはめていても、サインしてくれる友達はいない。(アメリカには、友達ら親しい人たちが回復を願ってギプスに寄せ書きをする習慣がある)
そんなある日。心理療法のセラピストから宿題として与えられた“自分宛に書いた手紙”を、乱暴者のクラスメート・コナー(コルトン・ライアン)に取り上げられる。そしてギプスにも一方的に「コナー」とサインされ、「これで親友のフリができるな」と告げられる。
数日後、校長室に呼び出されたエヴァンは、コナーが自死したことを知る。コナーのポケットにあったのは、あの手紙。コナーの母親シンシア(エイミー・アダムス)と義父ラリー(ダニー・ピノ)は、コナーが親友のエヴァンにあてて書いたものと思い込み、息子に心を許した友人がいたことを喜ぶのだった。また、自身がコナーの妹のゾーイ(ケイトリン・デヴァー)に秘かに心を寄せていることもあって、悲しみに暮れる一家に彼は、コナーと「親友だった」と“思いやりの嘘”をつく。
コナーの追悼式が行われ、エヴァンは彼の親友として壇上でスピーチを披露。すると、その様子がSNSで世界中に拡散されて感動を呼ぶことに……。クラスメートのアラナ(アマンドラ・ステンバーグ)は、コナーとエヴァンの思い出の果樹園をよみがえらせようと、クラウドファンディングまで始めてしまう。“思いやりの嘘”は、もはや引き返せないところへ来てしまった。どうする、エヴァン?!
ネット社会の中のリアルな若者たちに向き合い、コロナのパンデミック後のシリアスな問題“人々がどうつながり、かかわりを持っていくか?”を考えるきっかけにもなりそう。癒しや赦し(ゆるし)とも、どう向き合うか? 世代ごとにそれぞれ自分を重ねられるキャラクターがいることで、物語は俄然、身近なものになってくるのだ。(増井孝子)
※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオdeショー!』、「おたかのシネマdeトーク」より
『ディア・エヴァン・ハンセン』
■公開:2021年11月26日(金)TOHOシネマズ 梅田 他全国ロードショー
■配給:東宝東和
■監督:スティーヴン・チョボスキー(『ワンダー 君は太陽』『ウォールフラワー』
■楽曲:ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール(『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』)
■出演:ベン・プラット、エイミー・アダムス、ジュリアン・ムーア、ケイトリン・デヴァー、アマンドラ・ステンバーグ、ニック・ドダニ、ダニー・ピノ、コルトン・ライアン
■全米公開日:9月24日
■原題:DEAR EVAN HANSEN
■上映時間:2時間18分
■公式サイト
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