演じることで「生きる知恵」を “ドラマティーチャー”石井路子さんがいわき総合高校での演劇教育を振り返る | ラジトピ ラジオ関西トピックス

演じることで「生きる知恵」を “ドラマティーチャー”石井路子さんがいわき総合高校での演劇教育を振り返る

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 今年4月、兵庫県豊岡市に開学した「芸術文化観光専門職大学」(学長:平田オリザ)で講師を務める石井路子さん。元高校教諭で、演劇を教育に取り入れた「ドラマティーチャー」として知られる。

 このたび石井さんが、劇作家・演出家の平田オリザさん(兵庫県豊岡市在住)がパーソナリティーを務めるラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西、毎週木曜午後1時~)に出演。平田さんとの出会いや、演劇教育を確立することとなった福島県立いわき総合高等学校(以下、いわき総合高校)の総合学科立ち上げ当時を振り返った。

石井路子さん(芸術文化観光専門職大学講師)

 石井さんは、高校の国語科の教諭として約20年間「表現教育」を実践してきた経験を持つ。勤務したいわき総合高校は、2004年、普通高校から総合学科に転換。石井さんはその立ち上げから参画し、特色ある学校づくりの一環として演劇教育に力を注いだ。2014年には、プロと高校生の共同制作作品が岸田戯曲賞に輝くなどして話題を呼んだ。教科としての「演劇」を推進、カリキュラムや指導法を確立した「ドラマティーチャー」としての教育の実践が注目を浴びている。

 番組では、石井さんがゆったりとした口調で当時を振り返った。「(かつては)勉強があまり必要でない高校で国語を教えていました。日々いろんなことが起こるんですよね。そうした事象に直面するたび、芥川(龍之介)も大事だけれど、それと同じくらい“生きる知恵”を一緒に考える時間を持つ必要があるんじゃないか、って迷う時期がありました。そんな時に、いわき総合高校の話が来たんです。」

 いわき地区は、もともと演劇が盛んだったという。石井さんは、生きる力を身に着けるには、身体を通して他者を想像する「演劇」の手法が効果的だと考え、当時、桜美林大学(東京都町田市)で教べんを執っていた平田さんに「いきなり、電話した」そう。

 以後、平田さんのアドバイスを受けながら外部アーティストを招へい。生徒らが発表できる仕組みを作り上げた。プロと生徒らが作る作品は話題を呼び、福島だけでなく東京でも上演するようになると、演劇ファンからも支持されるまでになった。

 平田さんから「当時の若手のトップクラスを呼びましたからね。前田司郎くん(劇団「五反田団」主宰)や、多田淳之介くん(「東京デスロック」主宰)とか。飴屋(法水)さん(招へい)のときは、藤田(貴大)くん(「マームとジプシー」主宰)の岸田戯曲賞受賞パーティじゃなかったかな? 飴屋さんはちょうど僕の『転校生』の演出をしてくださっていたから(※1)高校生との付き合い方はわかっていらっしゃるだろうし、大丈夫だろうと」と話を向けられると、石井さんは「その頃『いわき総合高校に行くと賞を受賞できる』なんてジンクスがまことしやかにささやかれていて、ダメもとでお願いしたら快諾くださいました」と、顔をほころばせながら当時を振り返った。

 番組では、平田さん自身の裏話も飛び出した。1995年に第39回岸田戯曲賞を獲得した平田さんの作品『東京ノート』。実は、ノミネート時の候補作は『転校生』だったというのだ。どちらも同じ1994年に制作されたもので、ノミネート後に『東京ノート』に差し替えたのだそう。「『そんな生意気な新人作家はお前しかいない』って太田省吾さんに言われました」と、平田さんは笑って明かした。

 次週も引き続き、石井さんが出演。芸術文化観光専門職大学での授業について語る予定。


※『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。

『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp

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平田オリザの舞台は但馬 | ラジオ関西 | 2021/12/16/木 13:00-13:25

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