トイレの「音姫」開発担当者の「川のせせらぎ音」へのこだわりがすごかった「マイクを持って九州の山で…」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

トイレの「音姫」開発担当者の「川のせせらぎ音」へのこだわりがすごかった「マイクを持って九州の山で…」

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 駅やオフィスのトイレで用を足すとき、どこからともなく聞こえてくる流水音。個室に入るたび、毎日のようにこの音を聞いているという方も多いはず。この音は、一体誰が、どのように作った音なのでしょうか? トイレ用擬音装置「音姫」の製造・販売を行う水まわり住宅総合機器メーカー「TOTO株式会社」広報担当の村上由美子さんに聞きます。

――トイレ用擬音装置「音姫」は、いつ、どんな目的で作られたものですか?

「音姫」は1988年、主に節水を目的として作られた商品です。当時、トイレでの音を他人に聞かれたくないという恥じらいから、特に女性は、排泄中と排泄後に2〜3回水を流す人が多いと言われていました。そんななか、1978年に福岡で起こった大渇水など、全国各地で水不足が起こり、高まっていた節水意識に応えたという背景があります。ちなみに、当初はほとんどが女性用トイレへの設置でしたが、最近では、男性用トイレの個室にも設置されていることが多いようです。また、TOTOの試算によると、トイレで水を流す回数が1回で済めば、1000人規模のオフィスだと年間約386万円もの節約に、まちなかの飲食店や美容室では年間約8万円の節約になることがわかっています。

――海外でも同じような商品が普及していたのですか?

私が知る限り、海外ではあまり見受けられないので、恥じらいの文化を持つ日本特有の商品だと思います。今でも、日本のトイレに入ったら「勝手に音が流れてきた!」と驚かれる外国の方は多いそうです。

――「音姫」の音は、なぜ川のせせらぎのような音になったのでしょうか?

「音姫」の音は、トイレに入ったときに気になる音を消せるように、大きさや長さ、周波数を調整したものです。もともとは、勢いのある流水音そのものを使用していたのですが、2011年に、さらに違和感がなく消音効果が高い音を求めてリニューアルし、女性が気になるおならや生理用品を処理する音まで、トイレ内での気配のすべてをカバーする音として、現在の川のせせらぎの音に改定されました。音の種類が決まった後も、社内外の女性にヒアリングをしながら音の大きさや長さなどについて検証を重ね、現在の川のせせらぎの音が25秒間流れる「音姫」が商品化されました。

ちなみに、この「川のせせらぎ」の音は、開発担当者が実際にマイクを持って九州のとある山に入り、川の流れを録音したものが元になっています。この自然の音の周波数を調整し、あらゆる音をカバーできる音源に仕上げています。

――たまに、「音姫」から鳥の鳴き声が聴こえてくるような気がするのですが……。

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