北新地ビル・放火殺人 容疑者死亡に「動機語らぬまま、やりきれない」「遺族のために解明を」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

北新地ビル・放火殺人 容疑者死亡に「動機語らぬまま、やりきれない」「遺族のために解明を」

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 25人が犠牲となった大阪・北新地のビル放火殺人事件で、殺人と現住建造物等放火容疑が持たれ、12月30日に死亡した谷本盛雄容疑者(61)が動機を語らぬまま12月30日に死亡した。
 大阪府警は死因について、重度の一酸化炭素中毒による心肺停止の蘇生後に生じた脳の損傷 「蘇生後脳症」だったと明らかにした。

事件当日の現場周辺(2021年12月17日)
事件当日の現場周辺(2021年12月17日)

 谷本容疑者は 、現場となったビル4階の心療内科クリニックで心肺停止状態となり、クリニックの患者や関係者計26人とともに搬送された。顔や手にやけどをし、重度の一酸化炭素中毒や気道熱傷もあったが、集中治療で蘇生していた。ただ一時心肺停止になったことで脳が損傷し、心肺機能も衰え死亡した。

大阪府警 被害者や遺族に寄り添い、事件の真相究明に向け捜査誓う
大阪府警 被害者や遺族に寄り添い、事件の真相究明に向け捜査誓う

 谷本容疑者の死亡で動機などの解明は極めて困難な状況となった。大阪府警は「今後も引き続き被害者や遺族に寄り添いながら、事件の真相究明に向けて徹底した捜査を進める」として、年明け以降も必要な捜査を続け、容疑者を書類送検する方針。

 事件発生から現場には献花が絶えない。谷本容疑者が死亡した12月30日夜、現場に花を手向けた20代の女性は、「自暴自棄になって、他人を巻き添えにしたうえに、(動機について)何も語らず、謝罪もなく死んでしまったのかと思うと、本当にやり切れない」と怒りをあらわにした。

 甲南大学・法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「容疑者死亡で供述を得る機会が絶たれ、刑事裁判も開かれないから、遺族や社会が事件の真相を知ることができなくなった」と指摘。
「警察は事件が闇に包まれてしまうのを防ぐため、客観的な証拠を収集し分析して、動機についてもできる限り解明するなど捜査を尽くし、遺族にも情報を提供することが必要だ」とも話した。

 事件は2021年12月17日午前10時15分ごろ発生。ビル4階の心療内科クリニックから出火し、谷本容疑者を含む27人が心肺停止で搬送され、クリニック院長や通院していた男女25人が犠牲となった。残る女性1人は意識不明の重体。谷本容疑者は数年前からクリニックに通っていたとみられる。

谷本容疑者が死亡した12月30日夜も、現場には多くの花が手向けられた
谷本容疑者が死亡した12月30日夜も、現場には多くの花が手向けられた
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