日本各地で大雪が降ったり、都市部でも積雪が観測されたりしています。以前、私は「きょうはみぞれまじりの雪が降っていますね」と番組で話したことがあります。するとその後、先輩に「みぞれまじりの雪って何だ?」と指摘されました。「みぞれまじりの雪」。実はこれ、明らかに間違った表現なのです。
では、そもそも「みぞれ」とは何か?
気象庁のホームページ内「知識・解説」の項目に「天気予報等で用いる用語」の説明があります。その中の「雪に関する用語」に、みぞれは「雨と雪が混在して降る降水」と書かれていました。つまり、「みぞれ」という言葉自体が「雨」と「雪」の両方を指しているのです。さらに「みぞれ」の項目のすぐ下には、「みぞれ混じりの雪(雨)→みぞれ」と載っています。つまり、「みぞれまじりの雪(雨)」は明らかな間違いというわけなのです。
辞書にも明確に示されていて、『広辞苑 第七版』(岩波書店)には、「みぞれ【霙】(1)雪がとけかけて雨まじりに降るもの。氷雨」などとあります。『新明解国語辞典 第八版』(三省堂)には、「みぞれ【霙】雨と雪が交じって降る現象。〔雪が空中で溶けて、半ば雨になったもの〕」と記されていました。
調べれば調べるほど、かつて放送で間違った「ニホンゴ」を話していたあの日が思い出され、恥ずかしい限りです。
言葉は時代とともに、その意味も使い方も変化します。「ことばコトバ」では、こうした言葉の楽しさを紹介していきます。
(「ことばコトバ」第36回 ラジオ関西アナウンサー・林 真一郎)