アメリカの戦争を扱った、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』(2009年)は、歴史を書き換え、架空の人物と実在する人物を組み合わせて、ちゃんと筋の通る話にした構成が面白かった。本作は、実在の人物と史実を絡めた展開により、“もしかしたら感”にワクワクさせられる。
戦場のシーンは、サム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』(2019年)を思わせるスケールで、300メートルも続く塹壕(ざんごう、敵の銃弾を避けるために作られた溝や空堀)のセットもリアル。まさに、見応えのあるシークエンスになっている。迫力ある戦闘シーン、親子愛、キングスマンお得意のキレのいいアクション、オックスフォード公とコンラッド、ポリーにショーラのチーム戦…。
なぜ、どこの国にも属さないスパイ組織“キングスマン”が誕生したのか? なぜ、テイラー「キングスマン」が本拠地になったのか?
シリーズ3作目の今作も、監督・原案・脚本・製作と、すべてこなしているのがマシュー・ボーン。この作品が成功すれば、歴史上のそれぞれの時代にスパイ活動がどう変わっていったかをさらに描きたい、という彼の次回作がどのようなものになるのか、興味津々。個人的には、前2作のような荒唐無稽なものを期待してしまうのですがね!(増井孝子)
※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオdeショー!』、「おたかのシネマdeトーク」より
『キングスマン:ファースト・エージェント』 大ヒット公開中
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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