犠牲者追悼のため、毎年12月に神戸市で開かれる光の祭典「神戸ルミナリエ」は2021年も中止となった。約300メートルにわたるアーチ状のイルミネーションなどは神戸の年末を彩る風物詩だったが、観客の行列ができ、3密が避けられないと主催者側が判断。代替事業として、神戸ルミナリエpresents「ロソーネまちなかミュージアム」 と題して開催した。ルミナリエの最終地点を飾る花の形の電飾「ロソーネ」(イタリア語で「バラ窓」の意味)を、メリケンパークや東遊園地など神戸市中心部7か所に12月中旬まで設置した。
主催する神戸ルミナリエ組織委員会は「犠牲者への祈りの機会でもあり、収束して再開できる2022年であってほしい。代替事業を通じて神戸ルミナリエの意義を継承したい。たとえ一歩でも、半歩でも前に進めたい」と切実に訴える。
■「1.17のつどい」2022年、竹灯籠を並べて作る文字は「忘 1・17」
毎年1月17日に神戸市中央区の「東遊園地」で竹灯籠を並べ追悼の文字を浮かび上がらせる「1.17のつどい」。2022年、会場に竹灯籠を並べて作る文字は「忘 1・17」。
「忘」の一文字には「震災を忘れない」という願いや、思い出すのが辛くて「忘れたい」という思い、「忘れられてしまう」といった危機感など、さまざまな意味が込められている。
実行委員会は「新型コロナウイルス禍により日常から震災の記憶が埋もれている。あの日、あの時を思い出す機会に」としている。東遊園地の再整備工事やコロナの竹伐採作業への影響で、昨年に続き竹灯籠を例年の半数に減らし、混雑状況によっては来場者の入場制限も検討するという。