「ローマの休日」で主演女優に大抜擢され、初主演作で24歳のときにアカデミー賞主演女優賞を受賞、その美貌でハリウッド黄金期の大スターとして世代を超えて愛されるオードリー・ヘプバーン。独自の流儀やライフスタイルが多くの人にインスピレーションを与え続けています。
彼女は、本当はどういう人物だったのでしょう? ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』が5月6日に全国公開されることがオードリーの29回目の命日にあたる20日、明らかになりました。
幼い頃に父親から裏切られ、ナチス占領下のオランダで過酷な環境のもと育ったオードリーは過去のトラウマと一生涯向き合わねばなりませんでした。この経験がバレエダンサーになるという夢を奪い、私生活にも影を落とすことになりました。
「ローマの休日」から、彼女は映画女優として活躍。一方で離婚を何度も繰り返すのですが、育児のために女優業を休むなど子どもたちへ深い愛情を注ぎます。
後年、ユニセフ国際親善大使として慈善活動に尽力することで、ようやく心穏やかに過ごせるようになったそうです。
映画は日本初公開。貴重なアーカイブ映像や、リチャード・ドレイファス、ピーター・ボクダノヴィッチ監督ら俳優時代の仲間、息子や孫、家族ぐるみの友人などプライベートに迫るインタビュー映像がふんだんに盛り込まれます。
世界中から「愛された」オードリーは、実際は愛される喜びを知らず、誰よりも「愛すること」を信じ、貫いたひとりの人間だった、といいます。
今作のヘレナ・コーン監督は次のように語っています。
「私がこの映画を作りたかったのは、オードリーは英雄だと思ったからです。当然のことですが、彼女はその美しさやファッションによって記憶されています。しかしまだ深く堀り下げられていないオードリーの別の一面があります。彼女は人生における大きな悲劇やトラウマを抱えていましたが、常にそれをより良いものへ、そしてより美しいものへと変えることができました。彼女は恐怖や憎しみにあふれる世界で愛の重要性のために立ち上がり、今でも何らかの形で戦い続けています。そして自分に何があっても愛することを止めず、寛容な心を持つことができたのです。私にとってそれは、一人の人間が成し得る中で最も英雄的なことなのです。私たちは人生で経験する喪失感や痛みによって作られるのではなく、私たちがそれを許した時、それらによって成長し、活躍することができるのだという生きた証こそがオードリーなのです」