レディー・ガガとスターウォーズ俳優が共演 ブランドの創業家の闇 映画『ハウス・オブ・グッチ』レビュー | ラジトピ ラジオ関西トピックス

レディー・ガガとスターウォーズ俳優が共演 ブランドの創業家の闇 映画『ハウス・オブ・グッチ』レビュー

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 何と言っても、レディー・ガガの演技が素晴らしい。『アリ―/スター誕生』(2018年)でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたが、今回は歌う要素が全くない、演技のみの勝負。ある意味肝っ玉の据わった女性、パトリツィアの20代~40代までを演じている。まだ男尊女卑の考え方が色濃く残っていた1970~80年代のファミリービジネスの世界。スクリーンにリアルに、また、パワフルに息づくパトリツィアの姿は、もしもこういう間違った形で一線を越えてしまっていなければ、“グッチ帝国”を牛耳る立場になっていたかもしれないとさえ思わせる。

レディー・ガガ 『ハウス・オブ・グッチ』2022年1月14日(金)全国ロードショー ⓒ2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『G.I.ジェーン』(1997年)のデミ・ムーア、『エイリアン』のシガニー・ウィーバー、『テルマ&ルイーズ』のスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスなど、以前から逞しい女性の描き方に定評のあるリドリー・スコット監督。この作品で、また1人、強い女性を誕生させたようだ。

 一方、撮影中、1日14時間もマウリツィオ・グッチになっていたというアダム・ドライバー。『スター・ウォーズ』シリーズのエピソード7、8、9《『フォースの覚醒』(2015年)、『最後のジェダイ』(2017年)、『スカイウォーカーの夜明け』(2019年)》の悪役カイロ・レン役や、前出の『最後の決闘裁判』の好演でも知られる。

アダム・ドライバー 『ハウス・オブ・グッチ』2022年1月14日(金)全国ロードショー ⓒ2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 そのいとこのパオロ役を演じたジャレッド・レトは、毎日6時間かけた特殊メイクで、禿げた頭やだらしなく出たお腹などを演出。全くの別人に変身した。そのスゴイ変わりようは、父親アルド役のアル・パチーノも、当人と気づかずにいたほどだったらしい。

アル・パチーノ 『ハウス・オブ・グッチ』2022年1月14日(金)全国ロードショー ⓒ2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 マウリツィオの父親、グッチ家の四男ロドルフォ役は、トニー賞、アカデミー賞、エミー賞に輝くジェレミー・アイアンズが演じ、後にグッチ本社のCEOになるドメニコ役のジャック・ヒューストン、占い師ピーナ役のサルマ・ハエックなど、芸達者なメンバーが脇を固めているという、豪華なキャスト陣も見もの。

 華麗なファッションブランドの世界を舞台にしているぶん、衣裳、髪形、アクセサリーなどもゴージャスでエレガントだ。イタリアでの大がかりなロケによる映像美など、見どころもたっぷり。2時間39分という長さながら、飽きないで楽しめる極上エンターテインメントに仕上がっているのは、さすが!(増井孝子)

※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオdeショー!』、「おたかのシネマdeトーク」より


『ハウス・オブ・グッチ』  
2022年1月14日(金)全国ロードショー
■監督:リドリー・スコット
■脚本:ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティベーニャ
■原作:サラ・ゲイ・フォーデン『ハウス・オブ・グッチ 上・下』(実川元子訳、ハヤカワ文庫、2021年12月20日刊行)
■制作:リドリー・スコット、ジャンニーナ・スコット、ケヴィン・J・ウォルシュ、マーク・ハッファム
■出演:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエック ほか
■上映時間:159分(2時間39分)
■映倫区分:PG-12
■配給:東宝東和
ⓒ2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.
【『ハウス・オブ・グッチ』公式サイト】

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