テレビのリモコンや時計、ラジオ……身の回りのちょっとした家電を動かす乾電池。種類やサイズは多種多様ですが、普段あまり気にせずに使用し、買い換えるタイミングになって、サイズや種類、処分の方法について迷う方も多いのではないでしょうか。1963 年に日本で初めてアルカリ乾電池の生産を行った、マクセル株式会社のコンシューマー製品担当者・池田克彦さんに聞いてみました。
――マンガン電池とアルカリ電池の違いはなんですか?
「マンガン乾電池は歴史が古く、世界中で使用されている電池です。休み休み使うと電圧が回復するという特徴があり、時計やおもちゃになど、小さなパワーで動くものに使用されます。アルカリ乾電池はパワーが強く、同一サイズのマンガン乾電池と比べて約2倍の容量があります。連続して大きな電流を必要とする模型自動車、電動歯ブラシなどのモーターを動かすものや、ストロボなどパワーが必要なものに使用されます」
――単1、単2などの規格は、乾電池のサイズ以外にも違いがあるのでしょうか?
「同じ種類の場合、どの規格でも使用している中身の材料は同じですが、その量が違います。単1形が最大で、数字が大きくなるに従いその内容量やパワーは小さくなります。ちなみに、『単』という言葉は『単位電池』を略したものです。何個かをまとめた電池ではなく、1つの電池だという意味で、単1、単2のように呼ばれるようになったのは、1942年から。また、この呼び方を使用しているのは日本だけのようです」
そして、乾電池を取り替える際に気を付けたいのが捨て方です。電池の両端にある端子の部分は金属製なので、他の金属や電池と触れると、ショートして発熱・発火・破裂などの事故を起こす恐れがあるそう。池田さんによると、「乾電池の両端をセロハンテープやビニールテープで包むように巻いて、必ず絶縁してから、お住まいの自治体の指示に従って捨ててください」とのことでした。
ところで、「電池が切れたときに両端をこすると復活する」などの裏技は本当なのでしょうか? 質問してみたところ、「諸説あることで、当社としては推奨できませんが……」と前置きをした上で、「乾電池は化学反応で電気をつくるため、環境温度の影響を受けます。特に、冬場の寒い環境の中では、電池を手で握ることでまだ少し残っていた電池の中身が温められ、化学反応がしやすくなり一時的に復活する可能性もあります」とのことでした。