新型コロナで「自粛」を「要請」の不思議 言葉と向き合う 今こそ大事にしたいもの | ラジトピ ラジオ関西トピックス

新型コロナで「自粛」を「要請」の不思議 言葉と向き合う 今こそ大事にしたいもの

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 新型コロナウイルスの感染が拡大しています。可能な対策をしていきましょう。皆さんもお気をつけください。

 さて、この新型コロナ関連でたびたび登場する言葉。「感染」、「陽性」、「自粛」、「まん延」、「緊急」、「スピード感」、「病床」、「ひっ迫」、「時短」、「要請」、「行動制限」、「濃厚」、「接触」などなど…。気になる言葉はいろいろとあります。

  特に引っ掛かったのが、国や自治体からの呼び掛けの中に出てくる「自粛」です。『広辞苑 第七版』(岩波書店)を開きました。

 自粛とは…「自分で自分の行いをつつしむこと」とありました。

 そもそも自分が「主」になります。ところが、「自粛をお願いする」、「自粛を促す」などと使われています。言葉の意味を厳密にとると、自らが主体となって決めるはずのことを第三者から言われるという“不思議”なことになっています。

  その他にも気になると言えば、「まん延防止等重点措置」もそうです。漢字が多く、幾つもの言葉が連なって⻑く感じますよね。それぞれの言葉の意味を広辞苑から拾い上げてつなげてみると…

「はびこるなどするものを、防ぐことなどについて、重んずべき点をとりはからって始末をつけること」ということになります。要するに、流行っているものを防ぐためにしっかり対応する、とでも言えばいいでしょうか。しかし、これだと確かに長すぎます。「まん延防止等重点措置」、「重点措置」とするのは、やむを得ないのかもしれません。「まん防」では魚と混同しかねず、ネット上で話題になったほどですし…。

 ニュースをお伝えしていると、他にも「新型コロナウイルス感染症対策分科会」、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」など、やたらと舌を噛みそうな言葉が出てきます。何でも簡単に短くするのが良いとは言いませんが、公からの発信を、もう少しわかりやすい表現や言葉(用語)にすることはできないものでしょうか。

 一方で、「クレカ」「就活」などのように、極端に略す傾向もどうかと、少々疑問を抱くことがあります。


◆「ことばコトバ」アーカイブ記事

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