事故物件住みます芸人、松原タニシによるラジオ番組『松原タニシの生きる』に、認知症の医療を専門とする「しおかぜメモリークリニック」の南辰也医師が出演。今回も、リスナーが体験した不思議な現象などについて、精神医学の立場から回答した。
紹介されたのは「小さい頃、特定の部屋に入ると“ゾワッ”としたことがある」というリスナーからの体験談。「その部屋に入るたびに寒気がして、他の場所でも似た現象が起こったこともあります。大人になると自然となくなりましたが、これは医学的に何か理由があるのでしょうか?」という質問が寄せられた。
南医師は「これは人の記憶力が原因かもしれない」と回答。人は、生まれてから現在までのことをすべて記憶しており、自分が記憶しようと意識せずとも、脳にはインプットされているという。そのため「入ると寒気を感じる部屋」については「もしかしたら昔、その部屋、またはその部屋に似た状況の中で何か危ないことやイヤなことがあって、無意識にそれを覚えていたせいで体が反応した可能性がある。それは人の“危機回避能力”の一つです」と、仕組みを明かした。
さらに、この危機回避能力について南医師は「ポジティブ・ネガティブという言葉がありますが、ネガティブって一般的に良くないイメージがありますよね。でも実は違うんです。例えば『もしかしたらこんな悪いことが起こるかも』という、いわゆるネガティブな思考は、それだけその悪いこと(危機)を回避しようとする気持ちが働いている証拠。危機管理能力に優れていると言えます。なので、自分はネガティブだと思っている人はそれを悪いことだと思わないで欲しいですね」と語った。
※ラジオ関西『松原タニシの生きる』2022年1月23日放送回より
◆南 辰也 医療法人社団澪標会 理事長/しおかぜメモリークリニック 診療部長。同院を19年に開院。認知症診療を中心にからだとこころの総合的な治療をおこなっている。診療科は精神科、心療内科、内科、リハビリテーション科