■古くからあるの? 由緒は?
歴史は約1,800年前にさかのぼる。神功皇后が三韓(朝鮮半島南部)から船で帰国の折、嵐に遭い、底津綿津見神を初めとする「綿津見三神」を祭って祈願したところ、暴風雨が鎮まった。その神徳を仰いで、綿津見三神を祭った地に建てられたという。『万葉集』にもその名が出てくる。また、垂水の地がかつて海事の要衝であったとされることも、社が鎮座するゆえんとされている。
■海上保安庁の隊員は、本当に海神社のお守りを持ってるの?
海神社の田中宗則宮司に話を聞いた。
――ドラマにお守りが登場したいきさつは?
昨年末頃に、ドラマの制作者サイドからお守りを使いたいとお電話いただきました。全国の海上安全のお守りをインターネットか何かで探され、当社のお守りを見つけられたようです。でもまさか、あんなに何回も大写しになるとは思っていませんでした。
――放送後の反響は?
静岡や群馬からも、お守りが欲しいとご連絡をいただきました。新型コロナのこともあり、現在は郵送でもお届けしています。
――やはり、海に関わる方が大勢お参りに?
はい。海上保安庁や海上自衛隊、水上警察の方々、あとは船舶に乗っていらっしゃる方々がお越しになります。他には、船乗りになるための学校、商船や海自(海上自衛隊)の学校で学ぶ生徒の親御さんです。鳥羽(三重県)や広島、富山などに学校があり、神戸や明石から進学して学ぶ息子さんらが、実習船での研修(1か月~6か月間)に出るにあたって、お守りを求めにいらっしゃいます。
――古来から海の神として崇められてきた海神社。何か新しい取り組みなどは?
神戸市が、兵庫県内最大の前方後円墳「五色塚古墳」を舞台に作るアニメーションMV(ミュージックビデオ)に関わることになりました。(※2)五色塚古墳は、当社の約500メートル西にあります。明石海峡の海に向かって高台に造られた古墳で、淡路島から運んだ石を葺石(ふきいし:古墳の墳丘を覆う石)として使用しています。その石を海上輸送し、古墳の造営に関わったのが当社の氏子さんたちだったということで、プロジェクトに入っています。
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五色塚古墳は、昨年2021年に国史跡指定100年を迎えた、県を代表する文化財の1つ。4世紀後半に築造されたもの。埋葬された人物は定かではないが、当時、この地域で財を成した豪族(海上交易関係者)とする説があり、垂水は古来から海上交通の要衝だったと推察されている。
海神社の浜大鳥居の近隣には、金刀比羅権現や恵美須大神などを祭る「宝ノ海神社」(※3)や、えびす社もあり、この地と海との深い縁を示す。海神社は、海を畏れ敬う地元垂水の、そして全国の人たちの祈りを受けとめ、歴史を紡ぎ続ける神社だった。
※1 垂水区は、北側の山手に住宅街、南の海浜部に漁港や海釣り公園を要する。タコや鯛で有名な明石市と隣接。世界最長の吊り橋「明石海峡大橋」は、神戸・垂水区と淡路島を結んでいる。
※2 アニメーションMV『ワンダリズム きみを呼ぶ声』。神戸市がTOHO animation、若きクリエイターとともに制作する。今年3月webにて公開予定。
※3 「宝」は旧字。
参考:神戸市公式HP、海神社公式HP、兵庫県神社庁公式HP、『万葉秀歌』(斉藤茂吉著)、『海上の道』(柳田國男著)、『海人別荘』(泉鏡花著)
【海神社公式サイト】
【五色塚古墳リーフレット(PDF)】
【五色塚古墳アニメMVプロジェクトについて(神戸市公式サイトより)】
