大きすぎる花や植物がどのように生まれ進化したのかなど、植物に焦点を当てたこれまでにない規模の特別展「植物 地球を支える仲間たち」が、大阪市東住吉区の長居公園内にある大阪市立自然史博物館で開かれている。2022年4月3日(日)まで。
植物は、光合成という太陽エネルギーから有機物を作り出す能力を手に入れたことで、地球上の生命にとって欠かせない存在になった。その祖先は動物も植物も、そして人間も、共通する原始的な生命体だった。特別展では植物の歴史をひもとき、今や多種多様になった植物を紹介する。
地球上には恐竜やクジラなどよりもはるかに大きな植物もいれば、拡大鏡でやっと観察できるような植物もいる。「○○すぎる植物たち」を集めたコーナーでは、その多様性が一目でわかる。
会場には「巨大な花」を咲かせる「ショウダイオオコンニャク」(サトイモ科・東南アジアに生育)の2.72メートルの実物大の模型を展示している。一方で陸上植物の中で最も小さな「ミジンコウキクサ」は1ミリにも満たない。それでも楕円形のボディーの中央にくぼみがあり、0.1ミリほどの白い花を咲かせる。
また、ナミブ砂漠に生育する「キソウテンガイ」は1株から2枚の葉を出し、その2枚の葉が一生成長し続ける。植物は葉を落として新しい葉をつけながら成長していくのが普通だが、キソウテンガイは、葉の先が枯れていくものの、それぞれの葉が成長を続け、数百年以上生きる。大阪市立自然史博物館の横川昌史学芸員は「樹木が千数百年生きることはあるが、1枚の葉がこれほど長く生き続けるのは他にない」と話す。
世界初公開となるのは、「クックソニア・バランディ」という維管束植物の化石。4億3000万年前に生育したとされ、現在の維管束植物の祖先ともされる。100年以上前に発見されたがチェコの博物館の収蔵庫に眠っていた。近年その価値が再発見された。
今の植物はおよそ5億年前に淡水から陸上に進出し誕生したとされる。単純な構造から、大きくなるものや種子を作るものが現れ、その色彩もカラフルになっていった。横川学芸員は「きれいな花を咲かせる植物が生きる現代は最もカラフルな時代だろう」という。また植物自身が生き延びるために、毒を体にためたり、動物に種子を運んでもらうためにトゲを持ったりするものもいる。食虫植物の模型も展示する。
さらに会場では、世界で初めて開発に成功した青いキクや、花言葉は「不可能」だった青いバラなど、遺伝子組み換えによる技術の成果も紹介する。
ところで会場内を歩いていると、床に白いラインがひかれているのに気づく。これはメキシコのトゥーレ村に現存するヒノキ科の「メキシコラクウショウ」の根本周りを表したもの。この木の根本周りは57.9メートルあり「世界最大の木」としてギネスにも認定されている。「現物を展示できないのでその大きさを線で表現した」とのこと。中央の展示室がすっぽり入り、他のコーナーでもその線を見ることができる。
横川学芸員は、「展示を見たあとは、公園や道端などに生える身近な植物にも目を向けてほしい」と話す。
◆特別展「植物 地球を支える仲間たち」
会場 大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール
会期 2022年1月14日(金)~4月3日(日)
休館日 月曜(ただし3月21日、28日は開館)、3月22日(火)
【公式サイト】