兵庫県の北部、日本海側に位置する「但馬(たじま)」。海の幸や但馬牛をはじめとする食、城崎・湯村といった温泉地、“天空の城”竹田城跡、玄武洞、生野鉱山などの文化・自然・産業遺産、さらにはコウノトリ野生復帰の取り組みでも知られている。その但馬地域を所管する但馬県民局の登日(とび)幸治局長が、先週に続きラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西、木曜午後8時~)に出演。但馬の課題と展望について語った。
前回は、但馬の魅力を紹介した登日局長。今回は、但馬地域に限らず全国の地方都市が抱える課題についても触れた。
「人口減はどこの市町村も直面していますが、但馬に関しては、特に“いびつな人口構造”になっています。商店街などで話を聞いてみると、経営難というより後継者不足。若者が出ていってしまう。ですから、田舎暮らしに興味のある方に向けた住居・仕事などの“ワンストップ”(さまざまなものがそろうため1か所で事足りること)の情報発信には、特に力を入れていきたい」(登日局長)
そのような中、昨年2021年春、但馬の中心地・豊岡市に開校した「芸術文化観光専門職大学」の学生らが、地域に活力をもたらしている。フィールドワークや地元産業のブランディング動画の制作など、住民と連携したいくつものプログラムが進行中だ。
登日局長は「最初は学校らしくない学校だな、という印象でした(笑)」と明かしたうえで、「でも実際は、『街づくり』に力を入れてくださっている。芸術が身近な存在になりましたね」と話した。そして、「体験すると面白い。先日も(大学の舞台で上演された)『忠臣蔵』を観たのですが、帰りに家族連れが『あのカバンのシーンは豊岡カバンにするべきやな』なんて話していた。芸術文化がお茶の間の話題になりつつあります」と、地域のこの1年の変化を語ると、同大学の学長を務める演出家・劇作家の平田オリザさんは、「(但馬地域の)3市2町(※1)、演劇だけでなく音楽や芸術の拠点があります。それらをつなげて、但馬一体となって発信していきたい。そのためには交通網の整備も重要ですね」と将来を見据えての希望を述べた。
※1 豊岡市、養父(やぶ)市、朝来(あさご)市、香美町、新温泉町
※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2022年2月17日放送回より
※『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。
『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp