ともあれ1970年代後半にはキャロル的なファッションが長ラン、短ランみたいな変形制服の文化と混ざって、独特の不良ファッションを織り成していきます。それを面白おかしく演出に取り入れて成功したのが横浜銀蝿ですね。代表曲の「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」(1981)の出だしは「今日も元気にドカンをきめたら ヨーラン背負ってリーゼント」……当時の不良のファッションや生活スタイルが「これでもか!」とつめ込まれています。
【橋本】 同じロックンロールだけど、キャロルにくらべるとずいぶんコミカルな印象です。こういう音楽を当時の不良に憧れる中高生が聴いていたんですね!
【中将】 だけど当の横浜銀蝿のみなさんはみんな大学まで行ってるし、ちゃんと勉強もがんばる不良でした。不良文化を客観的に分析してネタにできたからこそ数々のヒット曲を生み出せたのかもしれません。ギターのJohnnyさんが解散後、キングレコードの役員になってAKB48のスーパーバイザーをしていることは有名です。
【橋本】 カッコいい! やっぱり時代を作っていく人って頭が切れるんですね!
【中将】 ロックンロールと言えばツイストですが、まさに不良たちは横浜銀蝿に踊らされていたということですね(笑)。
さて、躍らせると言えば尾崎豊さんの「15の夜」(1983)も多くの不良を躍らせました。ただの無免許運転の窃盗犯の曲なんですけどね(笑)。
【橋本】 15歳はバイクに乗っちゃダメですもんね(笑)。歌詞の内容的に今だったらメジャーレーベルから出すのは難しかったかもしれませんね。
【中将】 「15の夜」や「卒業」を聴いて、ホントにバイク盗んだり校舎の窓ガラス割ったりした不良は多いみたいです。バカなことやって人に迷惑かけてるだけなのに、この曲を繊細ぶったり自己正当化するダシに使ったりする人が多いのはちょっとゲンナリしますね。ちなみに尾崎さんの同級生は「尾崎はバイクを盗んだことがない」と証言しているそうですが(笑)。
【橋本】 ええ子か(笑)。