男性の美容意識の高まりに伴い、男性の美容系SNSアカウントも増えてきました。しかし百貨店の化粧品売り場で販売員に冷たくされてしまった、という男性客の声がチラホラ見かけられます。そういった声に対し、現役美容部員のはなさん（@hinano0213_）が、男性客に対する “美容部員の本音”をTwitterに投稿しました。男性のお客様も増え、多くの方に美容の間口が広がっていることを嬉しく思う反面、男性に冷たい販売員がいることにはこういった事情があるかもしれない……という切り口で、「実は美容部員、特にデパートで働く販売員はストーカー被害を受けることがめちゃくちゃ多いんです」と語ります。はなさんが問題提起した男性からのストーカー被害・セクハラ被害の実情は、13万いいねを集めて大きな反響を呼びました。
はなさんは、化粧品売り場で5年間の勤務経験を持ちます。以下、はなさんのツイートの抜粋と独自取材した声になります。
化粧品売り場でストーカー被害・セクハラ被害が多い理由として、変質者が立ち寄りやすい条件が揃っていることが考えられます。具体的には、まず女性販売員が大半を占めるフロアであり、男性店員や警備員が少ないこと。次に、香りが強い商品のため、通気性が良い1階に売り場があることが多く、目につきやすいこと。また、各ブランド別の売り場の境界線に壁が無いため、通路から販売員に声掛けしやすいことが挙げられます。
実際にこれまで見聞きした被害としては、従業員入り口で待ち伏せといった警察案件もありますが、手作りお菓子などの差し入れを突然渡され、お断りすると怒鳴られたり、過剰な業務外のお声掛けなどといった、ハッキリと注意しにくい内容も多いです。男性客からだけではなく、同じ百貨店に勤務する男性スタッフからの悪質なストーカー被害に遭い、精神的にダメージを負ってしまった女性販売員もいました。
私自身の体験としては、日々些細なことは日常茶飯事ですが、大きく3つあります。
1つ目は、通路でサンプル配りをしている際に、2時間程、遠目にウロウロとされ、ずっと見られていたことがあります。始めの方は気付かなかったのですが、何か違和感を感じ、ずっと私の方を見ていることがわかりました。なるべく目を合わせないようにしながら耐えていましたが、途中で先輩が気付いてくれて警備員を呼び、近くに立っていただくことで、その不審者はいなくなりました。その日は怖くて、母親に駅まで迎えに来てもらい、特に実害はありませんでした。
2つ目は、男性のお客様からスキンケアのご相談があったのですが、途中から世間話に逸れ、手相を見ると言われて手を掴まれ、しばらく離してもらえなかったことがありました。世間話の時点で不信感がありましたので、遠目に手の平を見せたのですが、アクリル板の隙間から手首を掴まれ引き寄せられました。ちなみに手相は何かわかったのかうかがうと、｢いやぁ｣と濁されてしまいました。スキンケアのご購入もありませんでした。
3つ目は、百貨店で出禁の扱いを受けていて、お見かけしても声掛けは絶対にしないように通達が出ていた男性に、誤って会釈をしかけてしまい、そこから数日間、執着されたことがあります。特に触られたりなどはなかったのですが、明らかにおかしい距離感で今の時刻を何回も聞いてきたり、世間話を振ってこられたりして怖かったです。最終的には元々出禁の方ですので、警備員に連れて行かれていました。こうした経験からも、態度に差がないように努めてはいますが、やはりご来店いただいた始めはどういった方なのだろうと、男性のお客様に対して怖い気持ちを抱きやすい部分はあります。
ツイートした本意としては、ほとんどの男性は自分用またはプレゼント用に化粧品を購入しに来店されているということを大前提としたうえで、ほんの一部の男性により、こういった被害が起こっている実情を伝えたかったんです。女性が多い化粧品売場の中には、怖い思いをしたことがある販売員が少なからずいて、できるだけ身の危険は避けたいと思ってしまう環境にあることを知ってほしいと思いました。それは過去の事例を知っていただくことで、もし男性客が販売員に冷たく接客をされてしまった時にも、「男性が化粧品を買うことへの偏見なのかな」「どうせ買わないからと雑に対応されたのかな」と、自分自身を責めないでほしいためです。
最近男性の美容垢でデパートのコスメ売場で冷たくされたというお話がよく出ていて、皆が化粧品を気持ち良く買えないなんて悲しいなと思いながらもちょっとここでだけ美容部員の本音を書いてもいいですか
— はな (@hinano0213_) February 28, 2022
