洗濯機は温度や脱水回転(脱水しない~最大1200回転)など20種類のプログラムから選べる。ミーレはクリーム分離器の製造メーカーとして創業した。その2年後にはバター攪拌(かくはん)機からヒントを得て、手動洗濯機第一号が生まれたという経緯がある。「ウール」プログラムを選んだ実験では、バラの花(生花)も優しく洗うことができた。
ビルトイン調理機器は、1台のオーブンの容量が大きく、大鍋を置いて魚も焼けるし、煮物も炊飯も同時にできる。電子レンジやスチーム機能(蒸し器)付きオーブンもあり、従来の日本型のオーブンと異なることに驚く人も多い。
ワークショップを体験した40代の女性は「バラの生花が洗濯機でまったく壊れない、花びらがちぎれることがないのに驚いた。 またドイツ人特有の、合理的というか、効率的な時間の使い方がオーブンの大きさに表れているのでは」と話す。
この女性は、コロナ禍での在宅勤務が増え、休憩時間とパソコンの前での仕事時間とのメリハリが利かなかったという。自宅を離れられないという固定観念もあったが、勤務先からは、休憩時間の気分転換の方法は自由にして良いと言われた。ただ、オフィスへ通勤するのが当たり前だったので、時間を持てあましていたという。
「例えば日中にウォーキングをしながら(屋外にいながら)でもアプリでボタン1つで操作できるのは、時間の節約にもつながる」と、新たな生活スタイルを考えるきっかけをつかんだ様子だった。
また50代の男性は、コロナ禍で過ごす自宅での時間を、妻とどう共有するかを考えるようになったという。長い結婚生活で初めてのことだった。「新しい生活スタイル」という言葉を聞いて久しいが、男性は「屋内と屋外での比率が圧倒的に逆転したのを機に、自宅の空間そのものを見直している」と話し、「ドイツ人の、緻密で合理的な”ものづくり精神”を垣間見た」と感想を述べた。
ミーレ・エクスペリエンス・センター大阪の祁荅院(けどういん)千春ストアマネージャーは、コロナ禍で食器洗い機(食洗機)の人気が高まっている理由に、「食事を終えてから、少しゆっくりしたい時間に『食器を洗わなければならない』という悩み」が大きいと分析する。
そして「実際、見て触っていただけることで、生活を豊かにする、生活の中で何が大切なのかを観点を持ちながら、製品と触れ合い、よりご自分に合った生活スタイルを考える気付きになったのではないかと思う。コロナ禍で、『おうち時間』が長くなったことによって、身の回りの家事をいかに減らし、家族と一緒にいる時間をどう増やすかを求めている方に提案できる」と体験型店舗のメリットを挙げた。