10日に行われたプロ野球、パ・リーグの千葉ロッテ対オリックス戦で、千葉ロッテの佐々木朗希投手が、28年ぶり16人目の完全試合、日本新記録の13者連続奪三振、日本タイ記録となる1試合19奪三振を達成した。一夜明けた11日、同じく19奪三振の記録を持つ元阪神・オリックスの野田浩司氏がラジオ関西の番組『ニュースタイムライン』に電話出演。「次元が違った」と、圧巻の投球を見せた20歳を絶賛した。
「試合開始から全球観ていたが、圧巻のピッチングで本当に次元が違った。前に(フェアゾーンに)いい打球が飛んでいなかった」という野田氏。最速164キロのストレートと140キロ台の高速フォークを軸に華麗なピッチングを行う若きエースの投球術を次のように評する。
「(佐々木投手の投球は)まっすぐ(ストレート)が速く、コントロールも(よく)できていたなか、あのまっすぐからフォークを見せられる。かなり揺れたり落ちたりして、バッターからはどう変化するかわからない。たぶんまっすぐと同じ腕の振りなので、フォークに対応できない。バッターはまっすぐと思って振りにいっていると思うが、その想定でだいぶ早く振りにいかないといけない。でも、振りにいくと(フォークが来たときに)バットを止められない」「(オリックスの打者は)ファーストストライクをどんどん狙うよう指示が出ていたと思うが、ただそれを打ちにいってもほとんど振り遅れてファウルになる。追い込まれるとフォークがきたら、手も足も出ない感じに見えた」
この試合ではオリックスの主軸で、2年連続首位打者の吉田正尚選手が、佐々木投手に3打席連続三振を喫した。「例年、三振を(ほとんど)しない選手で、バットに当てる技術は球界でもナンバー1といっていいくらいのバッター。あの吉田ですらまったく対応できていなかった」(野田氏)。それだけに佐々木投手のすごさが際立つ。
実は、野田氏が19奪三振を達成したのが、オリックス時代の1995年4月12日。相手は今回と同じ千葉ロッテ。千葉マリンスタジアム(現、ZOZOマリンスタジアム)での試合だった。そこからまもなく27年というなかで生まれた記録に、「その辺は因縁を感じながら、正直、複雑な思いで見ていた」と野田氏。「三振も20を超える勢いで、内心、20はいってほしくなかった、正直なところ19で止めてくれてよかったかなと。オリックスの9回の攻撃で先頭と2人目のバッターが内野ゴロを打って20はなくなったので、少しはホッとした部分もある」と、正直な胸の内も明かす。
それでも、この大記録を打ち立てた佐々木投手への賛辞を惜しまない野田氏。「いま3年目で身体も細いが、これからもっとヨコも付いてくる(体格もよくなる)と思う。フォームはある程度完成形だと思うが、球速は170(キロ)を目指してほしい。コントロールはもともといい選手。どこまでいくんでしょうかね……(笑)」と、今後の成長にも期待を寄せていた。