4月上旬に元阪神タイガースの赤星憲広さん(45)が結婚したことを発表しました。お相手のタレントでモデルの徳原恵梨さん(34)も、自身のインスタグラムで「この度、私、徳原恵梨は野球解説者の赤星憲広さんと入籍致しました」と、バラの花の写真と共に結婚したことを報告しています。
このとても幸せな報告に水を刺すわけではないのですが……「入籍」と「結婚」は同じ意味ではない、ということはご存知でしょうか? テレビやラジオでは、結婚を「入籍」と報じないことが、近年徹底されるようになってきましたが、「入籍」と検索をかけると「入籍を報告」と題したニュース記事は今も多く見られます。
では改めて、「入籍」には本来どのような意味があるのか、「かなえ法律事務所」(神戸市中央区)の森本圭典弁護士に聞きました。
通常の「結婚」は、結婚する二人が親の戸籍から抜けて二人の新戸籍を作ります。これに対して「入籍」とは、一般的に、ある特定の人が「あらかじめ存在している戸籍に入ること」を指します。入籍について法律用語辞典では、父母の元で生まれた子が初めて戸籍に入る場合のような原始的入籍と、養子縁組などで養子が養親の戸籍に入るような移転的入籍とがある、と説明があり、通常の結婚とはこの「原始的入籍」と「移籍的入籍」のどれにも該当しないそうです。もっとわかりやすく、入籍と言える場合を次に紹介します。
・離婚した時に、子どもの戸籍を父親の戸籍から母親の戸籍に移す場合。
・離婚してから子連れで再婚した際、自分の戸籍に入っている子どもを、戸籍の筆頭者になる相手の戸籍に入れたい場合。
以上のようなケースを指します。また、結婚で入籍となる場合も存在しており、「離婚歴のある男性と初婚の女性が結婚し、男性の氏を名乗る場合」はそのケースに該当します。
法律上の夫婦になるために届けるのが「婚姻届」ですが、説明したような入籍を行うにあたっての「入籍届」も存在します。入籍届は婚姻届とは逆に、離婚した後の手続きで提出されることが多い書類です。
このように、結婚と入籍はほぼ違うものですが、とはいえ「入籍しました」との幸せな結婚報告で指摘するのは野暮というもの。もし、身近な人から結婚の意味で「入籍した」と報告を受けても、違うと言いたい気持ちは心に留めておくのが良いかもしれません。