サッカーのアジアクラブチームナンバー1を決める大会「ACL(AFCチャンピオンズリーグ)」のグループステージに参戦し、グループJ集中開催地のタイ・ブリーラムで激闘を展開中のヴィッセル神戸。2連勝とグループ首位を走るなか、25日夜、3日前と同じ相手、タイのチェンライ・ユナイテッドとの試合に臨む。会場は今回もブリーラムスタジアムで、キックオフ予定は日本時間の午後11時(現地時間の午後9時)。
19日に傑志(香港)を2-1で下したあと、中2日で挑んだチェンライ・ユナイテッドとの最初の対戦で6-0と快勝したヴィッセル。先発を4人入れ替えたなかでも、7分のFW大迫勇也選手の先制点を皮切りに、序盤から終始、相手を圧倒。MF汰木康也選手の2ゴール、MF郷家友太選手の2試合連続弾で前半にほぼ勝負を決めると、後半にもFWリンコン選手とDF大﨑玲央選手が加点。守備でも今季初のクリーンシートを達成し、危なげない形で勝利した。これで勝点を6に伸ばしたクリムゾンレッド。今回のチェンライ・ユナイテッドとの再戦で勝利すれば、グループステージ突破を確実とする。前回大勝している相手だが、まずはこの1試合での必勝にチームは全力を注ぐ。
ただし、タイの高温多湿の環境下で、10日以上の合宿生活を行うなか、試合も立て続けにこなし、プレーしている選手たちの疲労もピークに達している。24日に開催された試合前日会見で、ロティーナ監督は冒頭、「3日ごとに試合があるということは、疲れをいかにとるかにフォーカスしなければいけないと思う。疲れがたまっているのは当然のことなので、今日の練習をみて、疲れがたまっている選手についてはしっかりリカバリーして、フレッシュな選手が明日11人並ぶと思う」とコメント。そのため、選手の入れ替えも想定されるが、このACLでは、新指揮官のもとで選手が試合ごとに成長。初戦でMF井上潮音選手、2戦目で汰木選手がヴィッセルでの初得点を記録した。総力戦の様相を呈しているものの、今回の試合でもニューヒーローが生まれるのか、注目だ。
一方、22日のチェンライ・ユナイテッド戦では、大勝したとはいえ、後半には4番のMF加藤恒平選手や10番のMFシワコーン・ティアトラクル選手を投入してきた相手に、若干の決定機も作られた。パワフルなFWゲッターソン選手(8番)ら、手ごわいタレントも擁しているだけに、油断はできない。
ただし、前回の試合で相手を零封したクリムゾンレッドの守護神・GK前川黛也選手も、決して隙は見せず。「まだそんなにシュート自体というのはあまりきていなくて、自分の見せ場は少ないが、その代わり、後ろからの声掛け、コーチングであったり、攻撃のときのビルドアップの参加で、もっと改善したり、よくしたりできればと思っている。そこをもっともっとよくして、ピンチが来たときにはしっかり防いで、チームに貢献したい」と、さらなる守備の安定へ、意識は高い。願わくは、今回もヴィッセルの背番号1がほとんど目立たないような試合展開を期待したい。
この試合では、リンコン選手が累積警告により出場停止。けがで別メニュー調整中の選手や、疲労度がたまっている主力もいるため、前回の試合で今シーズン初出場となったDF櫻内渚選手だけでなく、傑志戦でデビューしたMF日髙光揮選手ら若い選手たちに活躍の場が巡ってくる可能性も高い。アカデミー出身のMF中坂勇哉選手、DF小林友希選手、そして今シーズントップ昇格を果たしたルーキーのDF尾崎優成選手らも、出番を手ぐすねを引いて待っていることだろう。
思えば2019年度に天皇杯を制したときも、主力だけでなく、バックアップを含めた全選手の活躍があり、チームが成長してタイトル獲得まで進んだ経緯がある。また、ロティーナ監督は、「この大会では決勝トーナメントに行くことが1つの目標だが、それと同じくらい重要なことは、チームとしていかにして戦うか、個人、選手に戦術をどう浸透させていくかということ」と常々コメント。ACLグループステージに臨むにあたって結果とチーム再構築の二兎を追うなか、2度目のチェンライ・ユナイテッド戦でも、クリムゾンレッドの進化している姿を勝利という形で示したいものだ。