昨年9月からスタートした国内初の女子サッカー・プロリーグ「WEリーグ」。大詰めを迎えている2021-22シーズンの戦いで首位を独走するINAC神戸レオネッサが、29日に優勝を決める可能性がある。その大一番となる第19節サンフレッチェ広島レジーナ戦は、神戸での今シーズンホーム最終戦。ノエビアスタジアム神戸で午後1時からキックオフされる。
11チームで争われる初年度のWEリーグ。そこで13勝2分け、いまだ無敗をキープするINAC神戸は、2位三菱重工浦和レッズレディースに勝点12差をつける独走状態。残り5試合となったなか、広島戦に勝てば、同日の試合で浦和がアルビレックス新潟レディースに引き分け以下だと、1位が確定。また、広島戦で引き分けでも浦和が敗れれば、その時点で初代女王が決まる。
INAC神戸は3月に再開したリーグ戦で、引き分けからスタートし、そこから5連勝も、そのうち4試合は1-0と僅差。決して相手を圧倒できたわけではなく、首位のINAC神戸に対して「順位関係なく(力を発揮して)くる」(星川敬監督)相手に苦しめられることもあった。
そのなかでも序盤戦から堅守が光るGK山下杏也加選手、DF三宅史織選手といったなでしこジャパン(日本女子代表)メンバーを軸に、前線から最終ラインまで統率のとれたディフェンスを展開。攻撃ではエースFW田中美南選手が4試合連続ゴールを決めるなどチームを牽引し、優勝の見える位置へ一気に引き上げた。150センチと小柄ながら活躍著しいMF伊藤美紀選手、なでしこジャパンでも台頭してきたMF成宮唯選手、そしてキャプテンとしてチームを引っ張る攻守のバランサー・MF中島依美選手らの運動量と卓越した戦術眼なども、安定した成績を出せている要因だ。
MF杉田妃和選手という大黒柱が海外移籍のために抜けた穴も、MF水野蕗奈選手、DF守屋都弥選手といったサイドを担う選手の成長でカバーできつつある。さらに病から復活を遂げたFW京川舞選手の存在も大きい。そして、ヨーロッパでの指導経験を経て10シーズンぶりにチームに戻ってきた星川敬監督が、近年のトレンドをいかしつつ確固たる守備戦術を軸としたサッカースタイルをチームに植え付け、安定した戦いに導いているのも忘れてはいけない。
INAC神戸としては、ホーム神戸で見せる、WEリーグ1年目の集大成の試合。勝って地元のファン・サポーターと喜びを分かち合いたいものだ。
INAC神戸と広島は、昨年6月のプレシーズンマッチで対戦し、そのときはINAC神戸が1-0で勝利しているが、リーグ戦では初の顔合わせ。広島にはGK福元美穂選手、MF近賀ゆかり選手、FW増矢理花選手、FW島袋奈美恵選手といったかつてINAC神戸でプレーした選手も多い。WEリーグにあわせて創設されたチームは、勝点15の8位だが、現在2連勝中。9番のFW上野真実選手が最近2試合で3得点を記録し、守備面も2試合連続完封と安定してきただけに、INAC神戸としては今回も難しい試合になるだろう。
それでも、「いいゲームをして、自分たちが思うような、この1年半取り組んできた進化したサッカーを見せられるようなゲームをして気持ちよく優勝を決めたい」と成宮選手。その思いを実現させるべく、レオネッサの選手たちがノエスタのピッチに立つ。