毎年、春から夏にかけて活発になり、住居に被害をもたらすシロアリ。倒木などを土に還すため「森の分解者」とも呼ばれ、自然界では重要な役目を果たしている「益虫」ですが、ひとたび住居に侵入すると、場合によっては家屋を倒壊させることもあるほど大変な被害をもたらす「害虫」になります。その被害の実例や対策について、100年以上シロアリなどの害虫防除を専門に扱う「今村化学工業白蟻研究所」今村誠治さんに聞きました。
――シロアリとは、どんな生き物ですか?
木材を主食とし、木の幹に含まれる「セルロース」という成分を栄養とする昆虫です。名前に「アリ」とつくものの、実はアリとは全くの別物です。木だけではなく畳や紙まで食べ尽くし、強い繁殖力を持つことから、その生態はゴキブリに近いと言われています。住居に侵入すると、柱を腐らせたり、ふすまや雨戸などの立てつけを悪化させたり、最悪の場合は建物を倒壊させることもあります。
――日本には、どんな種類のシロアリがいますか?
シロアリ目の昆虫は、現在までに世界中で2,886種が確認され、日本国内には22種が生息しています。日本で一般的によく見られるのは、多湿な場所を好む「ヤマトシロアリ」です。そのほか、比較的暖かくて海岸に近いところに生息し、より繁殖力の強い「イエシロアリ」、近年では、アメリカから入ってきた「アメリカカンザイシロアリ」も増加し、被害地域が徐々に拡大しています。現在確認されているシロアリは、日本の、一部を除くほぼ全土に生息しています。
――シロアリの活動はどの時期に活発になりますか?
ヤマトシロアリは気温6度以上で活動を始め、12度~30度でその活動が活発になります。つまり、夏を中心に春から秋にかけてはそれだけ被害の進行も早いということです。特に春は、雨が降って気温が上がると地面も温かくなり、シロアリが一気に出てくる季節です。
――シロアリは、地中から建物に上がってくるのですか?
そうとも限りません。昨年秋ごろ、大阪に所在するビルのうち、5階部分にのみシロアリの被害が出ていると報告がありました。シロアリは乾燥した環境や光を嫌うため、「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルを作って移動するのですが、ビル内の隅々まで調査しても、この蟻道は見つかりませんでした。
実は、このケースでは、ベランダにたまっていた水にシロアリが集まり、建物の亀裂から屋内に侵入していたのです。シロアリも生き物なので、食べ物となる木材を求め、どのように進んでいくのか考えています。必ず地中から上がってくるとは限らないということです。
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今村さんによると、被害を防ぐためには、シロアリを寄せ付けない環境を整えることが大切だといいます。シロアリは水なしで生きることができないため、多湿な場所や腐食した所に集まります。浴場など、水回りに湿気がこもらないようよく換気するほか、建物内に水漏れや雨漏りが発生していないか、日ごろからチェックするようにしてください。
大阪に所在するビル5階部分にのみ
— ㈱今村化学工業白蟻研究所【公式】 (@imamurashiroari) May 2, 2022
シロアリの被害がありました😨
被害を防ぐためには…
『シロアリを寄せ付けない環境』
を整える事が大切。
換気をし、湿気を逃がす。
建物内に水漏れや雨漏りがないか
日頃からチェックしてくださいね。#シロアリ #白蟻 #害虫駆除 #今村白蟻 pic.twitter.com/qecmEj8L77