特殊詐欺の被害が全国的に急増している。兵庫県警は5月13日から、金融機関のATMに警察官を配置して警戒に当たっている。
兵庫県内では2022年1~3月、神戸市内や阪神間を中心に219件(被害総額約3億2800万円)の特殊詐欺被害が発生した。このうち、高齢者に電話で言葉巧みに「(医療費などの)還付金が戻る」などとだまし、携帯電話で指示をしながらATMを操作させて金を振り込ませる「還付金詐欺」は70件と、前年同期比30件増加し、2倍以上のペースに。被害総額は約6000万円にのぼる。
特に人口密度が高い神戸市内と阪神間だけで、兵庫県内の被害の7割を占め、還付金詐欺の比率は8割まで上昇するといった深刻な状態が続く。兵庫県警は「ATMは水際対策の最後のとりで」と位置付け、こうした地域のATMを重点的に警戒する。
新型コロナウイルス禍が始まった2020年、感染拡大防止のため外出自粛で、特殊詐欺の被害確率が高い高齢者の在宅率が高くなったが、被害そのものは全国的に減少傾向だった。それにもかかわらず、兵庫では被害が倍増した。要因として郡部の高齢化と都市部の核家族化が進む傾向が顕著との指摘もある。
特殊詐欺の水際対策として、金融機関の職員やコンビニエンスストアの店員による声かけだけでなく、一般客からの声かけで被害を阻止したケースも増えたという。兵庫県警はこうした傾向に「⽇常⽣活の中で、無理なく⼿軽にできる防犯ボランティア。特別なことをしなくても、ちょっとした気配りや目配りでで犯罪被害を防げる」と話す。
兵庫県警はまた、歌手・女優の西田ひかるさん(兵庫県内在住)が「電話機の防犯対策で特殊詐欺を撃退」とのテーマで、特殊詐欺の手口を知っていても、自宅にかかってきた電話に出ることで被害にあう実態と被害防止対策を考えるYouTubeチャンネルを作成、広く注意を呼びかけている。